側頭葉の機能と障害を理解してみよう



側頭葉とは

側頭葉は、大脳の側面でSylvius裂(シルビウス)より下の部分に位置しています。

主に聴覚に関わっていますが、wernicke野と側頭連合野があるため一部では言語や視覚にも関わっています。

側頭葉は、細かく分けると一次聴覚野・聴覚周辺野・側頭連合野・Wernicke野(ウェルニッケ)の4つの領域に分類されます。

 

 

一次聴覚野

聴覚 () 情報の処理を担う領域である。 側頭葉の上側頭回、横側頭回に位置し、視床の内側膝状体から聴放線を通じて、信号を受けている。

 

聴覚周辺野

聴覚連合野とも言います。

一次聴覚野で受け取った情報を過去の記憶と照合し、それが何であるのか解釈する働きをします。

 

側頭連合野

視覚情報に基づく物体認識や、高次の聴覚情報処理及び、記憶に関わる機能があります。

人や物を認識する働きをします。

 

Wernicke

上側頭回の後部に位置し、言語を理解する領域になります。。

Wernicke野が損傷されると、言語理解が障害され、ウェルニッケ失語や感覚性失語といわれます。

この失語の特徴としては音声の発声は障害されていないため、単語や文は発声されるが文章としては破綻しており、意味が存在しないのが特徴です。

 

 

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聴覚情報の処理

側頭葉は、主に聴覚に関わる領域のため聴覚情報の伝達・処理の経路をまとめてみます。

耳から入ってきた音が入ってきますが、これが聴覚情報です。

耳から入ってきた聴覚情報→有用細胞→内耳神経(Ⅷ)→内側膝状体→聴放線→一次聴覚野→聴覚周辺野

という流れで伝達していきます。

一次聴覚野で音として認識されて、聴覚周辺野で何の音であるか解釈されます。

「あっ!ピンポンと鳴った、来客だ」などと認識されます。

 

 

側頭葉に障害を受けた場合に起こる症状は

 

聴覚性失認

・聴力が保たれているのに、語音の区別ができない、環境音の知覚・認知ができないという症状です。

・右の聴覚周辺野で起こることが多いです。

 

物体失認

・見ただけでは、それが何であるのか分からないが、視覚以外の感覚を使えば分かことがあります。

・左後頭葉の視覚前野から側頭葉の側頭葉連合野にかけての腹側視覚路が障害されることで起こります。

・後頭葉の視覚前野の障害でも起こります。側頭連合野が障害されると、見たものを過去の記憶と照合できないため、物が何であるのかがわからなくなります。

相貌失認

・身近な人や、よく知っている人であるにも関わらず、顔を識別できなくなる症状があらわれます。

しかし、声を聞けば分かることもあります。

・右後頭葉の視覚前野から側頭葉の側頭連合野にかけての腹側視覚路が障害されることで起こります。

・物体失認とは、責任病巣が右か左かの違いですが、右側頭連合野の一部の紡錘状回に顔の認識に働く顔選択性ニューロンが存在していると考えられているため、右側頭葉の障害では相貌失認が起こると考えられています。

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参考図書・教科書