【歩行分析】Stiff Knee Gaitはなぜ悪い?4つの原因とリハビリ戦略を解説します!




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膝が棒になる【Stiff Knee Gait】とは?

Stiff Knee Gaitは、遊脚期における膝関節屈曲角度が低下した歩容を指し、膝OAだけでなく、脳性麻痺や脳卒中後片麻痺などの中枢神経疾患でも見られます。

 

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膝を突っ張らせて歩行してしまう原因

 

①前遊脚期の大腿直筋の過活動

蹴りだし後、膝関節は振り子の原理で自然に屈曲と伸展運動を行い、次の踵接地につながります。

しかし、大腿直筋の過活動(持続的な収縮)により、この自然な動きが阻害され、膝伸展位のまま遊脚期を迎えることがあります。

 

立脚期から遊脚期に切り替わる際に急に足が空間上に浮くことで、膝関節のコントロールがうまくいかず、膝を固めてしまうこともあります。

 

②疼痛に伴う膝関節周囲筋の防御性収縮

疼痛に伴う膝関節周囲筋の防御性収縮も同様の流れで起こります。

特にTKA術後では、侵襲による膝の痛みにより過緊張が生じ、「膝を曲げると痛い」というネガティブな思考が影響します。

術後直後は膝関節周囲の感覚が過敏になり、膝関節を動かすことに対して嫌悪感を抱くことが多いです。

 

③TKA術前の学習された歩行様式の残存

TKA術前の学習された歩行様式の残存も問題です。

これは膝関節に限った話ではなく、変形性膝関節症の患者にも見られます。

術後には侵襲による疼痛がこの問題をさらに強固にすることが考えられます。

手術前に膝関節のこわばり感が強く、歩行時にSKG(膝関節の固有感覚障害)を認める場合は、術後の歩容もチェックし、早期からのアプローチが必要です。

 

④膝関節自体の不安定性

膝関節自体の不安定性も重要です。TKA術後は手術の侵襲による筋出力抑制により一時的に膝関節の安定性が低下します。

これを補うために筋の過剰収縮が生じ、結果的に屈伸の同時収縮という形で安定性を担保しようとします。

これにより膝関節の円滑な動きが阻害され、歩行時のSKGが完成されてしまいます。

 

大腿直筋の過活動や疼痛に伴う防御性収縮は、感覚機能に問題があることが原因と考えられます。

固有感覚受容器の異常によるエラーが生じているため、これを適正化しない限り、膝のこわばり感の改善は見込めません。

また、膝関節の不安定性も影響しており、TKA術後に筋出力の抑制がある場合、安定性を確保するために二関節筋の過活動が生じます。

これが大腿直筋やハムストリングスの過剰収縮の原因となり、同時収縮を引き起こし、膝関節のこわばり感につながるのです。

 

Stiff Knee Gaitの問題点

通常の歩行では、遊脚期に膝が自然に屈曲することで、脚が滑らかに前に振り出され、力をあまり使わずにムチのような動きが可能になります。

しかし、膝が曲がらない状態で脚を振り出すと、足部と路面のクリアランスを確保するために体幹や骨盤を引き上げる代償動作が必要となります。

その結果、脚が状態のままで振り出されるため、慣性力が最大限に働き、脚が重く感じられるようになります。

 

このような状態では、歩行の実用性が低下するのは明らかです。

また、足部と路面のクリアランスが不十分なため、つまづきのリスクも高まります。

したがって、Stiff Knee Gaitの改善は、歩行の安全性とエネルギー効率の向上にとって重要です。