しゃがみや正座ができるように 膝関節の深屈曲のメカニズムを解説します 




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膝の深屈曲が制限されるとしゃがみや正座動作が困難になります。

日本人の生活様式として床での生活動作が多いため、深屈曲の制限が日常生活動作の制限につながります。

今回は、膝の深屈曲のメカニズムと治療の考え方をまとめてみました。

膝関節深屈曲って何度から?

膝深屈曲とは、日本人工関節学会において屈曲130°以上の屈曲可動域と定義されています。

正常な膝関節の屈曲は自動運動で130°前後、それ以上の屈曲は外力が加わることによって獲得されます。

正座やしゃがみ込みではその角度は160°になります。

ではどのようにして深屈曲がなされるのでしょうか?

膝屈曲の制限因子として膝蓋上嚢があります。記事はこちら

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膝関節深屈曲の運動学

大腿脛骨関節

膝屈曲時、大腿脛骨関節において、大腿骨顆部が脛骨顆部上を後方へ転がるロールバック運動が起こります。

そして深屈曲位に至るまでに、大腿脛骨関節外側関節面においては大腿骨外側顆が大きく後方移動し(脛骨は大腿骨に対して内旋)、

大腿脛骨関節は亜脱臼状態となり、外側半月板も外側顆に適合して後方に転移します。

内側関節面においては、大腿骨内側顆の後上方部と脛骨後縁がインピンジメントを起こし、

内側半月板に乗り上げる様にlift off(関節面離解)が生じます。

膝蓋大腿関節

膝蓋大腿関節では、130°以上屈曲すると、膝蓋骨が遠位の大腿骨内側顆間にはまり込み、

全体の接触面積を低下させながら深屈曲が行なわれます。

膝蓋下脂肪体は大腿四頭筋腱の顆部と接触しないように作用します。

また、膝蓋下脂肪体は、前方の膝蓋靭帯、後方のACLとPCLから押し出されるように圧迫を受けて、

脂肪体は柔軟に圧迫から避けるように膝蓋骨の裏面に入り込み大腿膝蓋関節の除圧に寄与しています。

PCL(後十字靭帯)損傷の記事はこちら

膝蓋下脂肪体は膝蓋腱の両端から触知できます。

膝関節深屈曲の制限とリハビリ

深屈曲が制限されるということは先ほど述べた膝深屈曲時の運動のメカニズムが破綻しているということになります。

それにより、筋や靭帯の伸張ストレスや軟部組織の挟み込みによるROM制限や痛みが出現します。

膝窩内側の痛み

大腿骨内側顆の後方への移動が不足し、大腿骨内側顆と脛骨内側顆のlift offが不十分なことが原因で、

膝内側後方の軟部組織(半膜様筋、内側半月板)が挟み込まれることで痛みが生じていることが考えられます。

治療としては、脛骨を前方に引き出しながら膝関節自動屈曲を行います。

膝窩外側の痛み

大腿骨外側顆の後方への移動と脛骨内旋が不足し、大腿骨外側顆の脛骨外側関節面からの亜脱臼が不十分なことが原因で、

膝外側後方の軟部組織が挟み込まれることで痛みが生じていることが考えられます。

治療としては、脛骨の内旋を引き出しながらの膝関節自動屈曲を行います。

広筋による制限

膝関節が屈曲していくと大腿前面~側方の筋は伸張されますが、さらに側方~後方へ押しつぶされるように広がります。

風船を床に置いて上から押すと横に広がりますよね?

そんなイメージです。

膝を屈曲すると皮膚が伸張されて皮膚の下にある大腿四頭筋が押しつぶされるのです。

これが、拘縮などで深屈曲をとっていない期間が長いと広筋間の癒着、伸張性低下、滑走性低下により広筋が側方~後方へ広がらなくなり膝の屈曲が制限されます。

治療としては、大腿遠位部を全体的に手で包むように把持して、大腿骨の上を筋が広がって回るように操作します。