MMSE/認知症テストの目的と評価方法、注意点、カットオフ値を解説!



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MMSE(ミニメンタルステート検査)とは

MMSEは日本語で「精神状態短時間検査」と言って、11項目の設問で、見当識や単語の記銘、計算、図形の描画などで構成されています。

10~15分の短時間で認知機能をスクリーニングできる検査キット、評価バッテリーです。

米国のフォルスタイン夫妻が患者の認知機能を測定するために考案しました。

認知症のスクリーニングテストとしては、世界的にもっともよく活用されています。

日本語版は、何人かの医師によって翻訳されており、有名なのは2006年に杉下守弘医師が翻訳した「MMSE-J」があります。

日本ではMMSEとHDSRが認知症の検査としては有名です。

MMSE実施時の注意点

MMSEは医療従事者でなくても実施できるくらい簡便な検査ですが、正確に検査するために守ってほしいルールがあります。

 

・質問内容を勝手にアレンジしない

・相手の体調がいい時に行う

・テストや検査という言葉を用いて、相手の不安を煽らない

・正答に辿り着いてしまうヒントは与えない

・10秒以上待っても答えが出なかった場合は0点とし、次の設問に進む

 

 

以上の点を踏まえて実施してください。

MMSEの準備、必要な物

特殊な器具などは必要ないので、MMSEの評価用紙があれば、家でも検査をすることができます。

 

MMSEの評価で準備するもの

・MMSEの評価用紙


・筆記用具(鉛筆と消しゴム)

・時計または鍵


・白紙のプリント

MMSEの評価項目

 

(1)時間の見当識
 ・今日は何日ですか
 ・今年は何年ですか
 ・今の季節は何ですか
 ・今日は何曜日ですか
 ・今日は何月ですか

(2)場所の見当識
 ・ここはどこですか(施設や建物の名前など)
 ・ここは何県ですか
 ・ここは何市(町・村・区など)ですか
 ・ここは何階ですか
 ・ここは何地方ですか

(3)即時想起(記銘)
 ・私がこれから言う言葉を繰り返し言ってください「桜、猫、電車」
 ・今の言葉は、後で聞くので覚えておいてください

(4)注意と計算能力
  ・100から順に7をくり返し引いてください

(5)遅延再生(短期記憶)
 ・さっき私が言った言葉は何でしたか

(6)呼称
 ・時計(又は鍵)を見せながら「これは何ですか」
 ・鉛筆を見せながら「これは何ですか」

(7)読字・復唱
 ・今から私が言う文章をくり返して言ってください「みんなで、力を合わせて綱を引きます」

(8)言語理解
 ・右手にこの紙を持ってください
 ・それを半分に折りたたんでください
 ・それを私に渡してください」

(9)文章理解
 ・この文を読んで、この通りにしてください「目を閉じてください」

(10)文章構成
 ・何か文章を書いてください

(11) 図形的能力(空間認知)
 ・この図形を正確にそのまま書き写してください(重なり合う五角形)

 

MMSEの採点の仕方、ポイント

(1)時間の見当識

【 点数 | 問い 】
1点 or 0点:今日は何日ですか
1点 or 0点:今年は何年ですか
1点 or 0点:今の季節は何ですか
1点 or 0点:今日は何曜日ですか
1点 or 0点:今日は何月ですか

【MMSEの評価ポイント】

  1. 正解なら1点、不正解なら0点として各項目をそれぞれ採点します。
  2. 年については西暦・年号どちらでも正答とみなします。
  3. 季節に関しては「春夏秋冬」または、「梅雨」「初夏(冬)」も正答とします。

 (2)場所の見当識

【 点数 | 問い 】
1点 or 0点:ここは何県ですか
1点 or 0点:ここは何市(町・村・区など)ですか
1点 or 0点:ここはどこですか(施設や建物の名前など)
1点 or 0点:ここは何階ですか
1点 or 0点:ここは何地方ですか

【MMSEの評価ポイント】

  1. 正解なら1点、不正解なら0点として各項目をそれぞれ採点します。
  2. 病院名(事業所名)を通称や略称で答えた場合も正答とします。

 (3)即時想起(記銘)

【問い】
⑴:私がこれから言う言葉を繰り返し言ってください。
⑵:今の言葉は、後で聞くので覚えておいてください。

【点数】
1点 or 0点:桜
1点 or 0点:猫
1点 or 0点:電車

【MMSEの評価ポイント】

  1. 3つの単語を1秒間隔で伝えた後に、繰り返すことができれば正解とする。
  2. 3つの質問につきそれぞれ1点とし、合計3点満点で計算する。
  3. 「今の言葉は、後で聞くので覚えておいて下さい」という指示は、5つ目の質問項目で採点します。ここでは、3つの単語が答えられるようになるまで6回は繰り返してもよい。

(4)注意と計算能力

【問い】
⑴「100から順に7をくり返し引いてください」
⑵ 答えられたら「それからまた7を引くと?」と5回繰り返す

【点数】
1点 or 0点:93
1点 or 0点:86
1点 or 0点:79
1点 or 0点:72
1点 or 0点:65

【MMSEの評価ポイント】

  1. 計算を間違えたり、答えが全くでてこないような場合は打ち切り、次の設問に進む。
  2. 引き算を終えて、次の7を引く際は、ヒントを出してはいけない。
    例)「93から7を引くといくつですか?」などと計算した数字を言ってはいけません。

 (5)遅延再生(短期記憶)

【問い】
さっき私が覚えてもらった言葉は何でしたか?
※設問3で覚えてもらった3つの言葉

【点数】
1点 or 0点:桜
1点 or 0点:猫
1点 or 0点:電車

【MMSEの評価ポイント】

  1. 答える順番は問わない。
  2. 答えが出てこない場合は、それぞれ別々にヒントを出しても良い。
    例)植物、動物、乗り物など

 (6)呼称

【問い】
⑴:時計(又は鍵)を見せながら「これは何ですか?」
⑵:鉛筆を見せながら「これは何ですか?」

【点数】
1点 or 0点:時計または鍵
1点 or 0点:鉛筆またはペン

【MMSEの評価ポイント】

  1. 物品の通称が言えれば正解とする。
  2. ヒントは出してはいけません。

 (7)読字・復唱

【問い】
今から私が言う文章をくり返して言ってください「みんなで、力を合わせて綱を引きます」

【点数】
1点 or 0点:みんなで、力を合わせて綱を引きます

【MMSEの評価ポイント】

  1. 問いは必ず、ゆっくりと口頭のみで行う。
  2. もう一度言うことは禁止し、評価は一度限りとする。

(8)言語理解

【 点数 | 問い 】
1点 or 0点:右手にこの紙を持ってください
1点 or 0点:それを半分に折りたたんでください
1点 or 0点:それを私にください

【MMSEの評価ポイント】

  1. 回答者が混乱したり、紙を折ることができなければそこで打ち切る。
  2. 問いはゆっくりと口頭のみで行う。
  3. 各項目ごとに正しい動作が行えれば1点与える。

 (9)文章理解

【問い】
この文を読んで、この通りにしてください「目を閉じてください」

【点数】
1点 or 0点:実際に目を閉じれば1点を与える

【MMSEの評価ポイント】
音読でも黙読でも構わない。

(10)文章構成

【問い】
「ここに何か文章を書いてください」と指示し、MMSEの評価用紙と鉛筆を渡します。

【点数】
1点 or 0点:文章が書ければ1点を与える

【MMSEの評価ポイント】

  1. 文章に主語がなくても全体的に文章となっていれば正答とする。
  2. 文章はどんな内容でも構わない
  3. 単語や名刺のみ、意味のなさない文章は誤答とする。
  4. ヒントとなる例文を与えてはいけません。
  5. 利き手、非利き手は問わない。また文字の綺麗さは問わない。

(11) 図形的能力(空間認知)

【問い】
「この図形を正確にそのまま書き写してください」と指示し、MMSEの評価用紙と鉛筆を渡します。
【点数】
1点 or 0点:図形が正しく書ければ1点を与える

【MMSEの評価ポイント】

  1. 五角形の角がそれぞれ5つあり、2つの五角形が交差していれば正答とする。
  2. 手のふるえや図形のサイズ感は問わない。
  3. 五角形が描けない場合や図形が交差していない場合は不正解とする。

検査のあとは間違った項目の確認とフォローが重要

検査を行った後にフォローすることがとても重要です。

周りは「まぁーそんなものでしょう」と思っていても、本人は物忘れに悩んでいたり「こんな簡単な質問にも答えられなかったのか」と落ち込んでしまう人もいます。

 

検査をしたら「頭を使ったので疲れましたか?」など声掛けをして、間違った項目を確認しつつフォローもしていきましょう。

たとえば、「今の季節は?」という問いで間違っている場合は、外の景色をみて「街中の病院なので木とか少ないからなかなかわかりづらいですよね?」とか、そしてその景色の話からMMSEとは全く関係ない話をして会話を盛り上げてもいいかもしれません。

MMSEの結果でわかること

MMSEは11の項目があり、それぞれの項目で目的とした認知機能の検査ができるようになっています。

認知機能が低下でみられやすい症状である

 

・時間の見当識

・場所の見当識

・即時想起

・注意と計算能力

・遅延再生(短期記憶)

・言語的能力

・図形的能力(空間認知)

 

の検査ができます。

 

しかし、MMSEはスクリーニングテストであり、認知症の疑いがあるかをざっくりふるいにかけるものです

そのため点数が低いから認知症というわけではなく、点数が低い理由が精神状態であったり、言語理解であったりする場合もありますし、点数は正常の範囲であっても生活のなかでは認知症を疑えるような場合もあります。

MMSEのカットオフ値

 

27~30:正常

22~26:軽度認知症の疑い

21点以下:どちらかというと認知症の疑いが強い

 

とされています。

 

また、MMSEで24点以上を認知症の疑いなし、23点以下を認知症の疑いありとした場合に、国内での感度は0.83、特異度は0.93とされています。