脳卒中片麻痺のリハビリ 麻痺の回復と半球間抑制の関係を知ろう



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「半球間抑制」という現象によって手や足は巧みに動かすことができますが、脳卒中になるとこの抑制のバランスが崩れてしまいます。

リハビリでもこの現象を考慮しながら進めていく必要があるため、今回は半球間抑制についてまとめてみました。

実際に半球間抑制を考慮しながら治療介入した症例の記事はこちら

脳卒中リハビリと半球間抑制、そのメカニズム

半球間抑制とは、片方の大脳が活性化すると、反対の脳の神経細胞の活動が抑制される神経現象のことです

左右の脳は脳梁を介してつながっているため、左右の半球間で抑制し合うことで、左右の上下肢を巧みに動かすことができています。

半球間抑制

引用元:理化学研究所ホームページwww.brain.riken.jp/jp

脳卒中になると半球間抑制はどうなる?

しかし、脳卒中になると、こういった左右の大脳半球間のバランスに崩れが生じるとされています。

脳卒中などにより一側の大脳半球が損傷すると、

 

①非損傷側の大脳半球からの抑制が強まり損傷側の大脳半球の活動性は低下します。

②さらに、麻痺側を代償して非麻痺側で動いてしまい、損傷側大脳半球への抑制はより強くなり、損傷側大脳半球の活動性はさらに低下します。

③これにより一次運動野の興奮性も低下するため、皮質脊髄路の興奮性向上が阻害されます。

④そしてまた①に戻って悪循環となってしまいます。

 

 

また、運動による抑制だけではなく、感覚入力によっても半球間抑制は起こるとされています

このことから麻痺側の不使用から筋や皮膚などからの体性感覚情報も入力されず、感覚野から一次運動野へ発せられるはずの信号が発せられなくなり、麻痺側の不使用につながる悪循環に陥ります。

半球間抑制のことを考えてリハビリ介入

では半球間抑制の不均衡に対し、どう治療展開していけばよいのでしょう?

 

この半球間抑制の不均衡に対する治療介入の戦略として、

損傷半球の皮質運動野興奮性を増加させる、

あるいは

非損傷半球の興奮性を低下させるという2つの戦略が考えられていて

Hypothesis Driven Approachと呼ばれているそうです。

 

プッシャー症状はこの半球間抑制で、非麻痺側の努力によって麻痺側への抑制が強まって感覚入力がされないともいえるでしょう。

プッシャー症状の記事はこちら

具体的な治療の考え方

 

①非麻痺手の体性感覚入力を減少させることによって非損傷半球の興奮性を低下させる

②麻痺手の体性感覚入力を増加させることによって損傷半球の興奮性を増加させる

③麻痺手の運動練習と麻痺側上腕への麻酔の組み合わせによる損傷半球の興奮性増加

④直接的に損傷半球の興奮性を増加させる

⑤直接的に非損傷半球の興奮性を低下させる

 

の5つが挙げられます。

④と⑤は反復経頭蓋磁気刺激や経頭蓋直流電気刺激などの非侵襲的な脳刺激法による効果が期待されています。

 

リハビリテーションとして関われるのは①・②になるかと思われます。

 

②の補足として、

半球間抑制は運動による抑制だけではなく、感覚入力によっても半球間抑制は起こるとされているため、脳卒中片麻痺となり、随意運動が困難な状態であっても感覚刺激を入れることで、損傷した大脳半球の活動性を高めることが可能になります

特に一次感覚野と一次運動野の連絡は密であるため、適切な感覚刺激を入れることで一次運動野の活動を高めていくことができると予測できます。

 

治療として①と②を同時に行っていくことが重要だと思います。

麻痺側に感覚入力をしていても、非麻痺側の過活動で損傷側大脳へ抑制がかけられていてはいくら感覚入力しても感覚野の興奮は起こらないからです

「非麻痺側はできれば動いていない状況での麻痺側への感覚入力」が望ましいでしょう。

麻痺側が動作に参加でき、非麻痺側の過活動が起こらずに活動できるようになれればいいと思います。

関連記事はこちら↓↓片麻痺に対する運動療法の根拠を知っておきましょう。

半球間抑制を考慮すると

移動手段として非麻痺側を使用した片手片足での車椅子駆動があります。

もちろん、患者さんの移動範囲が広がり、トイレや洗面などで介護を呼ばなくてもよくなるので、患者さんのQOLの拡大につながるでしょう。

しかし、難しいもので半球間抑制のことを考えてしまうと、「一人で車椅子で移動できるから良かったね」とはならないのです。非麻痺側を存分に使用してしまうので、あまりすすめたくないと私は考えてしまいます。

杖歩行でも同じです。杖を軽くつける人ならいいのですが、ものすごい杖に頼ってしまうような人も中にはいるでしょう。

難しいです。。

 

以上の事より脳卒中のリハビリテーションは進めていく上では、左右大脳半球の不均衡が起こっていることを十分考慮しながら、介入を進めてゆく必要性があると言えます。

 

 



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