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私たちは、脳卒中片麻痺の患者さんに運動療法を通して、感覚入力、緊張や収縮の抑制と促通を行って、機能回復を図ろうとします。
そこで、運動療法を行うことでなぜ機能回復につながるのか簡単に神経生理学的に根拠を解説していきます。
脳卒中片麻痺者に対する運動療法の根拠
片麻痺の運動療法にかかわる治療技術は、PNF、ボバース、課題指向型アプローチなどさまざまな方法が提唱されており、
セラピストの考え方や患者さんの状況に合わせて運用されています。
提唱者ごとにコンセプトやアプローチ方法はさまざまですが、基盤にある治療の根拠は以下の4つになります。
脳血流の促進
運動をすることで筋は収縮・弛緩され、筋ポンプ作用や代謝活動により筋への血流が促進されます。
脳では運動を支配している領域を中心に血流量が増加します。
脳卒中により、梗塞での虚血、出血による浮腫での血管の圧迫での虚血などにより、虚血領域の細胞死を招きます。
この細胞死を防ぐためには、ペナンブラ領域への血流の供給が不可欠になります。
早期から運動療法を行うことは、運動に対応する領域への血流を増加させ、浮腫の還流促進、梗塞した血管の再開通を促し、細胞死を防ぐことにつながります。
フィードバックとフィードフォワード
運動を行う際には、その運動が効率的で合理的になるように調整がなされています。
この調整は主に小脳で行われ、フィードバック制御・フィードフォワード制御というシステムが相互に関与しています。
フィードバック制御とは、運動中に得られる感覚情報をもとに、ずれていた、少し力を出しすぎたから次は修正しようという制御です。
フィードフォワード制御は、予めこうなるだろうと予測して制御します。熟練者は、フィードフォワード制御を行います。
運動療法により、反復的に感覚情報が脊髄から小脳、大脳までおくられることで、この制御システムの再構築に関与するとされています。
脳の可塑性
以前は中枢神経は一度障害されると回復しないというのが定説でした。
しかし、最近では神経細胞の再生やシナプスの増加による脳の可塑性が認められる報告が増えてきました。
可塑性とは学習や経験で脳細胞のシナプス結合が変化し、運動や環境に合理的に反応しようとする性質のことです。
運動療法は求心的に刺激情報を入力し、脳の可塑性変化の拡大を促し、システムの再構築に寄与するのです。
麻痺の回復の機序についての記事はこちら
筋感覚受容器の興奮と抑制
筋や関節には多くの受容器が存在しています。主な受容器として筋紡錘、ゴルジ腱器官、らせん終末などです。
これらの受容器から筋の収縮・弛緩・伸張の刺激が脳に伝えられ、運動が制御されています。
運動の制御は相反神経抑制やⅠb抑制などの作用も関与しており、運動療法をとおして、筋や関節の受容器を刺激し、目的の行動を導きます。
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僕が運営しているしているもう一つの一般の人向けの脳卒中情報サイトにて、片麻痺の自主トレの記事を書いていますので、ぜひそちらも参考にしてみてください!
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