脳卒中後、早期にリハビリを開始する理由
脳卒中後になるべく早期からリハビリ介入することが推奨されています。
脳梗塞を発症してから数週以内は組織的な修復がなされており、この時期にリハビリを行うと再構築を促進されるとされています。
発症から一か月が経過してからリハビリ介入をすると、損傷半球の手指の運動野領域の萎縮を阻止できないとの報告もあります。
そのため、脳梗塞を発症してから2~3週間以内に介入することがものすごく重要であるとされているのです。
"運動麻痺の回復のステージ理論とは
運動麻痺の機能回復のメカニズムとしてステージ理論が提唱されており、3つのステージに別れています。
1st Stage
最初のステージとしては残存している皮質脊髄路の興奮性を高めることによって麻痺を回復する時期になります。
リハビリによって残存している皮質脊髄路を刺激して興奮させることが必要になりますが、この興奮性は急性期から急激に減衰してしまいます。
発症から3か月で消失するとされており、ワーラー変性がその減衰に関わっているのです。
急性期のリハビリでは、運動麻痺を回復させるために発症してから早期に残存皮質脊髄路を刺激することが重要です。
2st Stage
次のステージとしては皮質間のネットワークの再組織化によって麻痺が回復する時期になります。
1st Stageでは発症から3か月で消失する機能回復ステージでしたが、この2st Stageは発症から3か月をピークにして6ヶ月で消失するステージになります。
この時期では、皮質間の抑制が解除されることで、損傷したネットワークを代償して皮質間の新たなネットワークが再組織化され、皮質脊髄路に指令をだす中枢として機能するようになります。
注意しなければいけない点として、
皮質間の抑制が解除されてネットワークが再構築される際に、痙縮という形で形成されてしまうこともあります。
そのため、痙縮のなるべく起こさせないように注意してリハビリプログラムを組む必要があります。
3st Stage
最後のステージとしては、シナプス伝達の効率化によって麻痺が回復する時期になります。
このステージは発症から6ヶ月を経過しても持続する回復ステージになります。
2st Stageで再構築された新しいネットワークからのシナプス伝達がリハビリなどの機能訓練で効率化されていき、また強化されていくことで回復につながるというステージです。
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運動麻痺の回復ステージ理論とリハビリ
発症から早期に集中的にリハビリ介入し、痙縮の発現に注意し、
的確なプログラム選択をしていくことが重要になることはわかると思いますが、ではどんなプログラムが最適なのか?
上肢の機能改善に有意差を認めた報告としては、反復課題訓練、治療的電気刺激、CI療法、EMGフィードバック、ロボティック訓練などが挙げられています。
しかし、どのステージで効果的であるのかは明確にされていません。
1st Stageにおいて分離運動を引き出すことが機能回復に重要とされ、1st Stageでは電気刺激とMirror therapyが有意に回復したとする報告もあります。
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