脳損傷後の手の痛みは肩手症候群が原因?原因、治療、リハビリまとめ【理学療法】

肩手症候群


 肩手症候群とは

 肩手症候群は麻痺側の上肢の痛みと腫脹が症状の特徴になります。

痛みの評価の記事はこちら👇

脳血管障害後2~6週間してから起こりやすいとされています。

しかし、脳血管障害後だけではなく上肢や手指の骨折後にも発症するケースもあるようです。

麻痺での痙縮による関節拘縮や痛みと判別は困難であるが、

肩手症候群では痛みが持続的で手部の腫脹と血管運動性変化(血流の増加、皮膚温の上昇、発赤の増加)を伴います。

以前は肩手症候群の病態に交感神経が関与していたことから反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)に分類されていましたが、

現在では複合性局所疼痛症候群(CRPS)のtypeⅠに分類されるようになりました。

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肩手症候群の原因

肩手症候群の原因はいまだはっきりしたものは解明されていません。

しかし誘発する要因として考えられているものが

 

・脳血管障害後の肩の亜脱臼

・心臓病

・骨折などの外傷

・バルビツール酸などの特定の薬品

 

などです。

 

肩手症候群の病期分類

 1期:急性期

肩の可動域制限・疼痛と同側の手の疼痛・腫脹・血管運動性変化が起こります。

手指は屈曲が制限されることが多いです

第2期:亜急性期

肩・手の自発痛は消失し、手の腫脹も消失します。

しかし、皮膚の萎縮が進行し指の可動域の制限が著明になります。

適切な治療がなされないと第3期に入ります。

第3期:慢性期

皮膚・筋の萎縮が著明で、手指は完全な拘縮となります。

骨粗鬆症も認めます。

この時期での回復は厳しいとされます。

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肩手症候群の治療

 肩手症候群の治療の目的は痛みの軽減と拘縮の予防・改善になります。

・薬物療法

・リハビリ(理学療法・作業療法)

この二つが治療法として挙げられ、薬物療法で痛みの軽減、リハビリによって拘縮の予防と改善を図ります。 

肩手症候群に対する薬物療法

 

  • 交感神経ブロック

神経ブロックとは、神経や神経の周辺に局所麻酔薬を注射して、痛みの改善を図る療法です。

麻酔薬が神経のインパルスに作用し、痛みの経路をブロックすることで、痛みをとります。

上肢の場合は星状神経節ブロックが使用されることが多いです。

星状神経節という交感神経節に局所麻酔薬を注射して痛みをとります。

 

  • 非ステロイド性消炎鎮痛薬

 非ステロイド系消炎鎮痛薬は初期の肩手症候群に有効なようです。しかし、進行すると効かないことがあります。

 

  • ステロイド

ステロイドは短期間での効果があるとされています。しかし、副作用があるので注意が必要です。

 

  • 精神安定剤、抗うつ剤、抗精神薬

慢性疼痛によるうつの改善や、睡眠の質を改善することで疼痛を軽減します。

肩手症候群に対する理学療法

 理学療法は薬物療法と併せて行っていきます。

関節拘縮や皮膚・筋の萎縮の予防を目的に関節可動域訓練が実施されますが、疼痛を誘発させるほどの訓練は症状を悪化させてしまいます。

愛護的に関節を動かすことを心がける必要があります。

また、物理療法としてホットパック、パラフィン浴、経皮的電気刺激法なども実施されます。

温熱療法に関する記事はこちら👇

理学療法としては二次的障害の予防(拘縮・筋萎縮など)を目的に愛護的な関節可動域運動などが実施される。