【肩関節不安定症】いわゆる脱臼に対する評価とリハビリを解説



肩関節不安定症とは?

肩関節不安定症とは、何らかの原因(使いすぎ、外傷等)により、関節が安定しなくなった状態をいいます。

肩関節不安定症の中でも最も多いのは反復性前方肩関節脱臼です。

これは、特に若年層で一度脱臼するとその後も繰り返すことが多く、反復性肩関節脱臼と呼ばれます。

初回脱臼後は安静期間を経て、可動域訓練や筋力強化を行うリハビリテーションが必要ですが、反復性脱臼となった場合は手術が必要となります。

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肩関節不安定症の原因

外傷性の肩関節脱臼は、ラグビーや柔道などのコンタクトスポーツや日常生活での転倒などで起こります。

多くの場合、上腕骨頭が前方に外れる前方脱臼で、前方の組織が伸張される過度な外転・水平伸展・外旋の組み合わせが原因となります。

脱臼により、関節包や靭帯の断裂、骨損傷、腱板損傷などが発生し、再脱臼しやすい状態になります。

 

非外傷性の肩関節不安定症としては、関節弛緩性に由来する習慣性亜脱臼や多方向性肩関節不安定症があります。

肩関節不安定症の評価

肩関節不安定症の評価方法としては、Load and shift testやsulcus signにより肩甲骨関節窩から上腕骨頭がどれほど動くかを確認し、健側と患側の左右差をチェックします。

不安感の評価には、apprehension test(肩関節を90度外転位とし、ゆっくりと外旋させたときの脱臼不安感の有無を確認)も行います。

 

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肩関節不安定症の治療、リハビリ

リハビリテーションは、受傷後の病期に合わせて段階的に行います。

炎症期(受傷後0-3週)

炎症のコントロールと組織修復を目的に超音波などの物理療法を行い、筋力低下の予防のために緩やかな可動域訓練や等尺性収縮運動を行います。

回復期(受傷後3−6週)

可動域の回復、肩甲上腕関節の求心位獲得、肩甲帯の機能改善を目指し、自動運動や等張性収縮運動、四つ這いでの運動を行います。

強化期(受傷後6-9週)

筋力や筋持久力の強化、関節位置覚の正常化を目指し、筋力トレーニングやリズミックスタビライゼーションを行います。

最後に、スポーツ復帰に向けた競技動作に合わせた運動療法を実施します。