椎間板ヘルニアを解説!症状、原因、治療、リハビリをまとめました



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椎間板ヘルニアの病態

椎間板ヘルニアとは、椎間板にある髄核物質が後方の線維輪を部分的あるいは完全に穿破することで、椎間板組織が脊柱管内に脱出してしまい、それにより馬尾や神経根を圧迫し腰痛・下肢痛および下肢の神経症状などが出現しするものです。

髄核だけが飛び出たものではなく、線維輪や軟骨終板や椎体辺縁の一部も含まれることがあります。

椎間板ヘルニアの分類

ヘルニアは脱出の程度によって4つに分類できます。

Protrusion型(P型)

線維輪最外層を破っていない髄核突出

軽度の膨隆

Subligamentous extrusion型(SE型)

髄核が線維輪を破っているが、後縦靭帯は破っていない

transligamentous extrusion型(TE型)

髄核が線維輪を破り、後縦靭帯も破っている

Sequestration型(S型)

硬膜外腔に遊離脱出する髄核分離

 

好発年齢と部位

・椎間板ヘルニアの発生は男性に多い

男女比で男2~3:1女

・好発年齢は20~40歳代

・好発部位はL4/5間、L5/S1間

・人口の約1%が罹患

 

椎間板ヘルニアの症状

腰椎椎間板ヘルニアの症状としては腰痛が多いが、強い下肢痛があるのが特徴的です。

下肢痛はL2/3間、L3/4間では大腿神経痛であり、L4/5間、L5/Sl間では坐骨神経痛がみられます。

坐骨神経痛はヘルニアによって神経根が圧迫されることと、炎症による科学的な影響によるものと考えられています。

巨大ヘルニアの場合は、馬尾神経の圧迫による膀脱直腸障害を呈することがあります。

診断・理学的検査

1.腰 ・下肢痛を有する (主 に片狽1,な いしは片側優位)

2.安静時にも症状を有する

3.SLRテ ストは 70° 以下陽性(た だし高齢者では絶対条件ではない)

4. MRIな ど画像所見で椎間板の突出がみられ,脊柱管狭窄所見を合併 していない

5.症状 と画像所見 とが一致する

腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン策定委員会提唱の診断基準(文献 2 より引用 )

下肢伸展挙上試験(SLRテスト)

・70°以下で痛みがある場合を陽性とする

・陽性率は90%

知覚検査

神経根の支配領域での知覚障害がみられるかを検査します。

・L4の神経根の支配領域は下腿内側

・L5の神経根の支配領域は下腿外側から拇趾にかけて

・S1の神経根の支配領域は小趾から足底外側にかけて

筋力検査

MMTにてそれぞれの筋力を検査します。

・L4の神経根の支配領域は大腿四頭筋

・L5の神経根の支配領域は前脛骨筋

・S1の神経根の支配領域は下腿三頭筋

深部腱反射

・L4の神経根では膝蓋腱反射の低下

・L5の神経根では該当はなし

・S1の神経根ではアキレス腱反射の低下

画像診断

・単純X線写真

・MRI

 通常の椎間板は白いが、変性した椎間板は黒くうつる

・脊髄造影

・椎間板造影

・神経根造影

 

腰椎椎間板ヘルニアの診断手順-4つのステップ

First step― 間診

  • 下腿まで放散する下肢痛か?
  •  神経根の走行に一致する下肢痛か?
  • 痛みは,咳 , くしゃみで悪化するか? 
  • 発作性の疼痛か?

 

Second step―理学的・神経学的検査

  • SLRテ ストは陽性か?
  • 神経学的所見は?

 

Third step―画像、その他の検査

  • スクリーニング的検査法

単純X線写真:腫瘍、感染、骨折 (外傷)の所見はないか?

  • first choice:R/1RI
  • second choice:CT
  • third choice:脊髄造影(体内金属を有する患者 、閉所恐怖症の患者 )

  • オプション的検査法

1)椎問板造影(造 影後CT):外側型ヘルニアを疑う症例、ヘルニアの形態評価

2)神経根造影・ブロック:障害神経根の同定

3)電気生理学的検査:障害神経根の同定、術後の神経機能評価

 

fourth step一適切な治療法の選択

  • first choice:保存療法
  • second choice:手術療法。ただし 膀脱・直腸障害のある 患者や、進行する重度の神経症状を有する患者にはfirst cholce

 

腰椎椎間板ヘルニアの診療ガイ ドライン.南江堂 , 2005

 

椎間板ヘルニアの治療方法

ヘルニアは自然消滅し、支障なく生活できることも多いため、保存療法が基本になります。

膀胱直腸障害や神経症状の進行があれば手術療法を選択するのが一般的です。

 

保存療法と手術はどっちが良い?

保存療法と手術療法では、長期成績を比較すると臨床症状に関しては手術療法の方が良好であると報告されています。

 

急性の下肢痛に関しても手術療法の方が早期に除痛でき、保存療法を選択した患者群の10~30%は疼痛が改善せずに手術をすることになったとの報告もあります。

また、手術療法を選択した場合

・男性

・画像所見で明瞭なヘルニアがある

・罹病期間が短い

・精神状態が正常

・術前の休職時間が短い

・労災関連

 

でないことなどが成績を向上させるともされています。

 

保存療法

椎間板ヘルニアは保存療法が第一選択となります。椎間板ヘルニアは自然消失の経過をとるためです。

疼痛の強い急性期は、楽な姿勢をとらせて第一に安静を保たせます

・安静

・NSAIDs

・筋弛緩薬

・装具療法

・物理療法(牽引、温熱、低周波、超音波など)

・運動療法

・ブロック注射

これらの治療法は単独ではなく、組み合わせて治療していきます。

手術療法

保存療法が第一選択ではありますが、膀胱直腸障害、著明な下肢の筋力低下、神経症状が進行する場合は手術療法が選択されます。

 

LOVE法(神経圧迫除去術)

椎間板ヘルニアの一般的な手術方法です。

骨切除はせずに、後方進入し、黄色靭帯を部分切除し脊柱管を開いてヘルニアを摘出します。

 

PLIF(後方腰椎椎体間固定術)

ヘルニアだけではなく、すべり症や分離症の手術としても用いられています。

椎弓や椎間関節を切除しヘルニアを除去し、ボルトやスクリューで2椎体か3椎体間を固定します。

 

椎間板ヘルニアに対するリハビリ

急性期のリハビリ

急性期では安静が第一であり、痛みがとれる楽な肢位、ポジショニング設定が重要になります。

積極的な運動は2~3週間は控えるようにしましょう。

 

初期は温熱療法をはじめとする物理療法にて疼痛の軽減を図ります。

気をつけたいのは超音波などの深部加熱をする物理療法です。椎間板ヘルニアでは深部で炎症症状がでている可能性があるためです。

 

運動療法としては

廃用を予防するために、脊柱や骨盤の動きを伴わないように注意しながら下肢の筋力訓練やストレッチングを行っていきます。

SLR運動は骨盤の前傾や腰椎の伸展代償がでやすいのでおこなわない方が良いでしょう。

 

回復期(疼痛がコントロールできたら)のリハビリ  

急性期の疼痛が軽減して疼痛がコントロールできるようになったら積極的に運動療法を取り入れていきます。

 

●腸腰筋のストレッチ

腸腰筋は股関節屈曲筋であり、骨盤前傾筋でもあります。

骨盤が動くということは腰椎も前弯したり後彎したりと動きます。

腸腰筋が硬いと、股関節の運動ですぐに骨盤の代償が入りやすくなり、腰椎のストレスが増加します。

 

●ハムストリングスのストレッチ

ハムストリングスは股関節伸展筋であり、骨盤後傾筋になります。

ハムストリングスが硬いと、腸腰筋の硬いときと一緒で、股関節の運動が骨盤の代償を伴い腰椎のストレスつながります。

 

●背筋群のストレッチ

ただ体幹を屈曲してストレッチするのはダメです。

だるまのようにゴロゴロと転がり筋膜リリースのようにほぐしていくのが良いでしょう。

●体幹部の安定化エクササイズ

体幹筋の強化によって骨盤や脊柱の安定化を図ります。

腹筋群の筋トレとしては体幹屈曲で行ってしまうと、椎間板の後方への膨張をおこしてしまい、症状を悪化させてしまう可能性があります。

 

腹斜筋群は腹腔内圧を上昇させて脊柱を安定化できるとともに、

腰背筋膜を通じて後方の多裂筋などの収縮も促せます。

 

そのため等尺性収縮が安全に行えます。

やり方としては

仰臥位で両膝を立てます。

腹斜筋は肋骨弓についているので、腹式呼吸を意識して呼気と同時に第十肋骨を下制していきます。

腰椎は生理的前弯を保つようにしましょう。

 

●マッケンジー体操

腹臥位でon elbowかon handにて脊柱を伸展させます。

脊柱を伸展させることによって後方に膨隆した髄核が前方に移動し症状が軽減されます。

症状が軽減されない場合は行いません。