転倒予防のために!バランステストのカットオフ値とスクリーニング【理学療法評価】



転倒を予防することができれば骨折を未然に防ぐことができ、その後の入院や寝たきりを防ぐことができます。また入院中の患者様に対して効果的に転倒予防を行うことができれば、医療事故も防止できるわけです。

転倒のリスクをスクリーニングすることでリスクが高い方を見つけ出せれば、その後の運動指導の内容も工夫できるでしょう。地域包括ケアとして介護予防を推し進めている今、その意義は大きくなってもくるでしょう。

転倒を起こす要因

 転倒は外的要因や内的要因によってバランスを崩し、身体を支える基底面(base of support:BOS)から体重心(center of gravity: COG)が逸脱して、立ち直れる限界を超えたときに起こります。

一歩踏み出せればいいですが、高齢者になってくるとなかなか瞬時に踏み出すことは難しくなってきます。

転倒の内的要因

・立位バランス能力低下

・歩行能力低下

・認知機能低下

・感覚機能低下

・疾患

・転倒歴

などがあります。

ざっくり立位バランス能力低下と書きましたが、その能力低下の原因は人によって異なりますし、挙げたらきりがなさそうなのでこのように書いてます。

転倒の外的要因

・床面の材質(滑りやすい、柔らかい、絨毯の毛足が長くて引っ掛かる)

・通路の障害物(家具、電気コードなど)

・階段や段差

・履物

・照明(暗くて段差や障害物がみえない)

・薬の副作用

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高齢者では身体能力の低下が転倒の根幹に

上記であげたリスク因子が重なったことで転倒に至るわけですが、健常の成人であれば環境や課題に合わせて姿勢を変化させながら制御し、動作を実行します。

しかし、高齢者の特徴として各関節可動域の減少、筋力低下、歩幅の短縮、前傾姿勢などがあります。柔軟に姿勢を変化させながら環境に適応するということが難しくなっていることで、バランスを崩してからの修正ができないのです。

 転倒予防の基本戦略はこれらの転倒リスク因子を明らかにし、修正することにあります。

転倒予防ためのスクリーニングテスト

転倒予防のためにスクリーニングを行う目的

➀ 転倒リスクのある対象者を割り出す

➁ 転倒リスクのある対象者を細かく評価し、個別的に危険因子を探る

➂ 個別的な転倒予防の介入をする

➃ 介入後の再評価を行い、予防対策を図る

という目的があります。

バランステスト

リハビリ専門職として関わっていくものは、バランステストになります。

 転倒予防のスクリーニングテストに求められるものは、なるべく簡便にかつ高い精度で転倒の危険性のある対象者を割り出せるものです。カットオフ値が決められている評価バッテリーがやはり適するでしょう

Tiedemannらは、一つのテスト項目からなる評価バッテリーでは高い判別性で転倒を予測することは困難で、より判別性を高めるためには複数の評価バッテリーが必要だと述べています。

スクリーニングテストの判別性を高め、転倒予防に関するある程度の情報を得るためには、測定する内容の異なるいくつかの評価バッテリーを組み合わせることが必要だと考えられます。

 

●Berg Balance Scale

 テスト項目が多いために測定に時間がかかりスクリーニングテストとしては使用しにくいという意見もある。転倒予測のカットオフ値は45点である。

 

●Timed Up&Go

 カットオフ値は10~16秒と報告により差がある。

TUGテストの意義と目的、測定方法、カットオフ値を紹介

●Functional Reach

 カットオフ値は15cmとされる。

ファンクショナルリーチテストの目的、方法、カットオフ値を紹介

●5ステップテスト

 カットオフ値は21秒である。

 

●10m歩行テスト

10m歩行テストの目的、方法、カットオフ値を紹介!結果の解釈も含めてまとめました

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まとめ

カットオフ値のある評価バッテリーの良い点は、Drや看護師などの他職種への情報共有をしやすく、一緒に転倒リスクの判定を行え、その後のチームとしての対応を統一できる点にあります。

転倒のリスクがあるから患者さんの行動を制限するのではなく、転倒のリスクを下げ活動量を確保することができると良いですよね。