変形性膝関節症(膝OA)で内側広筋が萎縮しやすい理由と対応

膝 レントゲン 写真



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内側広筋の役割                          

内側広筋は大腿四頭筋の4つの筋のうちの一つであり、膝関節の伸展の作用があります。

また、膝関節の保護や支持性に重要な役割があり、膝蓋骨の外側偏位を抑止するという特異的な機能もあります。

 

内側広筋によって膝関節を伸展位で保てることで膝関節の適合性を高め、安定性に寄与します。それは膝の靭帯は伸展位で緊張するためです。

また膝蓋骨を内側に牽引するため、内反変形に伴う外側支持組織の過緊張を防止できます。

しかし、そんな内側広筋は大腿四頭筋のなかでも萎縮しやすく、筋力増強訓練に対する反応も遅いとされています。

なぜ変形性膝関節症(膝OA)で内側広筋の筋萎縮が生じるのか 

変形性関節症では滑膜が傷害や関節腔内の異常に対して、炎症性細胞の浸潤や腫脹という滑膜炎として反応します。

滑膜炎になると、血液と滑液の物質交換機構が破綻し、滑液の貯留(関節水腫)が起こります。つまり膝に水が溜まる現象です。

膝OAの病態とリハビリの記事はこちら

膝OAでは滑液の量が増える

滑液は健常の場合は膝に2ml程度存在しています。それが滑膜炎で関節水症となると通常の5~10倍(10~20ml)に滑液が増えてしまいます

膝の前方に滑液が溜まる

この増えた滑液は膝の前方に溜まりやすくなります。前方に溜まることで、大腿四頭筋の膝蓋骨が浮き上がり、膝は伸展されにくくなります。

前方に溜まる理由としては膝関節の後方関節包は強力な線維束が存在しているためです。

膝OAで滑液が増え大腿四頭筋に対して抑制回路ができる

 神経学的抑制回路とは自己防衛的な反射性筋萎縮のことを指します。

この抑制は、

  • 関節水腫による膝蓋腱の圧迫
  • 循環障害

この2つの理由によってもたらされているといえます。

まず、関節水腫により前方に滑液が貯留するので伸筋である膝蓋腱が過度に収縮することで、筋紡錘からのインパルスにより伸筋運動ニューロンが抑制されます(Ⅰb抑制)。このIb抑制によって大腿四頭筋に抑制がかかります。

二つ目の滑膜の循環障害に関しては、

滑液内の代謝産物は毛細血管やリンパ管を通って排泄されますが、関節水腫によって滑液が通常の5~10倍増加しているため、滑膜内の毛細血管やリンパ管が圧迫されます。

またさらに大腿四頭筋が収縮して膝蓋骨が滑膜の方へ押し付けられることで、さらにダメ押しで毛細血管やリンパ管が圧迫され循環障害となるのです。

そしてこの循環障害にならないように、反射的な抑制がかかり大腿四頭筋の萎縮につながるのです。

膝の関節可動域制限

 膝OAによって関節水腫が溜まり、大腿四頭筋腱が圧迫されて大腿四頭筋に抑制機構が働き、内側広筋が一番抑制機構が働きやすいとされているため、内側広筋の萎縮がおこります。

内側広筋は膝蓋骨の外側脱臼を防止していますが、内側広筋が萎縮し外側広筋が優位に働くため、外側広筋に膝蓋骨が引っ張られて、関節適合性が低下します。その結果、膝関節の可動域制限につながるのです。

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変形性膝関節症(膝OA)での内側広筋萎縮への対応

  • 内側広筋の萎縮を予防するためパテラセッティングやSLRを早期から行う
  • 関節水腫が多い場合は、抑制機構が働くため、大腿四頭筋の収縮exは優先にせず、関節液穿刺で関節水腫を取り除いてから筋力訓練を行い、筋力強化を行っていく。


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