「筋緊張亢進」「筋攣縮」「筋痙縮」などなど似たような言葉が多くあり、
混乱しやすい筋緊張異常の表現ですが、今回は「筋スパズム」についてまとめてみました。
筋スパズム、筋攣縮とは
「筋スパズムが認められ、それに伴い痛みが起きている」などのようにカルテに記載したり、説明することが多いと思われます。
リハビリの分野においては「痛みに起因する局所的で持続的な筋緊張の亢進状態」のことを指します。
筋攣縮という言葉も使われますが
筋スパズム=筋攣縮
であり、分野によって呼び方が変わると捉えていいのではないでしょうか。
攣縮という言葉を使うので「断続的に生じる一定の持続力をもった異常な筋収縮状態」とされます。
それに痛みが伴ったりだとかすると筋スパズムと表現するといった感じですかね。
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筋スパズム(筋攣縮)の原因
筋スパズムの原因はさまざまなものが考えられています。
・外傷
・疼痛
・炎症
・感染
・不動
・関節の変形
など
痛みが原因でなるのか、骨や関節や靭帯の病理的なものでなるのか、末梢神経の損傷や変性によるものなのかなど説も色んなものが提唱されています。
神経の損傷ではアセチルコリンの漏出によって持続的に筋が収縮しますし、関節構成体の損傷は脊髄反射を介して筋スパズムを発生さえます。
筋スパズムが放置されるとどうなるのか?
原因を取り除くことができれば筋スパズムは消失しますが、慢性化するとさらに筋スパズムが悪化することがあります。
緊張が亢進し持続収縮しているため循環不全となる
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筋の柔軟性が低下し硬化、また可動域制限につながる
循環が悪いため発痛物質が流されず疼痛閾値が低下
↕
収縮や圧迫によって痛みが出現しさらに緊張の亢進につながる
のように悪循環となります。
筋膜として考えると、一か所の筋スパズムによって、
それが構成している筋膜ラインのほかの分節の機能障害につながり、またそこでも筋スパズムが発生するということも考えられます。
長い期間で考えると全身性変化へと発展してしまいます。
筋スパズムがトリガーポイントに発展
筋スパズムが長く続くとトリガーポイントへと発展することもあります。
トリガーポイントと呼ばれる過敏になった箇所は圧迫すると強い痛みが出現し、
また関連痛として少し離れた部位にも痛みが出現します。
このような状態を筋筋膜性疼痛症候群と呼びます。
"筋スパズム(筋攣縮)の治療・リハビリの考え方
マッサージやリラクゼーションなどで筋スパズムに改善がみられてもそれは一時的なものになることが多いと思います。
痛みや機能障害のリハビリをするうえで、原因となる根本は違う離れた部位であることが多く、
筋スパズムの治療をするときも同じです。
不良姿勢や動作が原因である部位にストレスが集中していたりすれば、アライメントの修正と動作の学習などのリハビリになります。
筋膜などの滑走性が原因であれば、筋膜リリースや滑走を促せるようなハンドリングと自動運動の併用などによる治療が必要になるでしょう。
炎症が原因であれば、炎症の時期を考慮して、強いマッサージや負荷量の大きい筋力トレーニングはしないなどの配慮をします。
一つの原因ではなくこれらが複雑に絡み合っていることもあるでしょうから、病歴や症候などからも考察して治療展開できていけたらいいと思います。