エクステンションラグ(膝自動伸展不全)の原因とリハビリ/内側広筋は関係あるのか




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Extension lag(エクステンションラグ)とは

膝関節の他動での完全伸展は可能であるのに、自動での完全伸展が困難である状態のことです。

立位や歩行時も膝の完全伸展保持はできないため、立位姿勢も全身的な屈曲姿勢を呈することになり

疲労しやすかったり、階段昇降も困難となることにつながります。

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Extension lag(エクステンションラグ)の原因

膝関節の伸展機構は複雑であり多くの原因が考えられます。

例をあげると

    •  
  • 大腿前面での皮膚や筋の滑走不全
  • 軟骨の癒着や瘢痕
  • 純粋な伸展筋力低下
  • TKA術後にしばしばみられる大腿四頭筋腱の断裂
  • 拮抗筋であるハムストリングスや皮膚後面の短縮
  • スクリューホームムーブメント機構の喪失
  •  

などまだまだ考えたらでてきそうですが、たくさんあります。

Extension lag(エクステンションラグ)は内側広筋の筋力低下が原因ではないのか?

Extension lag発生の原因は膝関節機構の障害、特に内側広筋の障害によって発生するとされてきました。

内側広筋は最終伸展域10~15°に作用するため内側広筋の筋力低下があると、最終域まで伸展できないと考えられてきたためです。

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しかし、現在では、検体にて内側広筋斜頭のみの単独では膝関節伸展ができないことが報告され、

また内側広筋に麻酔しても膝関節最終伸展が可能であったことが報告されており、

内側広筋の筋力低下のみが原因としては考えにくいです。

炎症による関節水腫で大腿四頭筋が抑制されている?

膝関節に生理食塩水を注入すると大腿四頭筋の活動が抑制されたとする報告があり、

TKA術後や膝OAにて関節水腫が貯留すると大腿四頭筋が抑制されてextension lagが引き起こされます。

詳しくはこちらの記事をどうぞ

大腿筋膜張筋・縫工筋の過剰な収縮が原因か?

Extension lagの症例にて、大腿筋膜張筋・縫工筋が過活動になっていることが多くあります。

そのため鵞足部での縫工筋のリリースやTFL・腸脛靭帯のリリースにて膝自動伸展の軽さがでることを多く経験します

 

膝OAの症例では、膝内反変形に対して、腸脛靭帯が膝外側で内反制動をするように過剰に緊張してしまいます。

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縫工筋に関しては、脛骨の外旋アライメントを呈すると、縫工筋の停止部が前方に偏倚し、

膝伸展の作用が加わってしまい過剰に緊張してしまうことが推測できます。

また、膝の痛みがあると、歩行時に膝の関節運動が起こらないように固定し、

swingにて股関節外旋・内転で行い、縫工筋を過剰に働かせていることが考えられます。

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Extension lag(エクステンションラグ)に有効な運動療法

 関節水腫が反射性抑制に働くため、関節水腫が認められれば穿刺廃液をする必要があります。

また可動域訓練は膝関節の関節運動学を考慮してモビライゼーションも含め実施していくことが必要になります。

膝の炎症の急性期での運動

急性期では関節水腫、腫脹による反射抑制がかかることを考慮しなければなりません。

急性期における膝伸展位と膝屈曲30°での大腿四頭筋の筋活動量は、正常膝では差はなかったが、

急性期の腫脹が著明な膝では、伸展位で抑制がかかることが報告されているため、膝の筋力訓練は屈曲位で行うほうが良いといえます。

 

また、過剰に緊張している縫工筋・大腿筋膜張筋に対してリリースなどで緊張のコントロール、

滑走の改善を取り入れるといいと思います。

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急性期以降の運動

運動療法として、CKCでは立位で膝の後面に回したゴムの抵抗に抗して膝を伸展させるsettingが効果的です。

これは、ゴムの抵抗があるので関節運動の方向がわかりやすく、収縮がされやすいことと、

腓腹筋とハムストリングス、大殿筋の相互作用による膝伸展機構が同時に働くため、立位や歩行に汎化されやすいためです。