長下肢装具の否定的な意見、デメリットを考えました

長下肢装具に対して否定的な意見を持っているセラピストっていると思います。

わたしも一時期ですがハンドリングや徒手療法にハマって勉強会に行きまくっていた時期は、長下肢装具で下肢を固めてしまうことに疑問を抱き、否定的な意見をもっていました。

ちなみにいまでは、股関節の筋緊張の調整のためによく使用しています。

そこで今回はデメリットを踏まえたうえで、効果的に長下肢装具を使用していけるように、いま一度デメリットと否定的な意見をまとめてみました。

長下肢装具のデメリット、否定的な意見の理由

わたしが考える長下肢装具のデメリット、なぜ否定的なのかは

 

・足底からの感覚入力が乏しくなる

・足部内各関節の副運動や足関節戦略の抑制

・歩行中のロッカー機能の抑制

・装具歩行で代償動作がでやすい

・筋に対する個別のハンドリングが難しくなる

・装着に手間がかかる

 

足底の感覚入力が乏しくなる

足底の皮膚感覚、固有感覚(メカノレセプター)は背側脊髄小脳路を介して、小脳に上行させ前庭系システムや網様体システムの調整を助ける役割があります。

また、足底の感覚は床の材質、硬さ、温度、障害物の有無など環境の変化を感じ取ることで、それに適応するよう身体を制御します。

例えば、凍っていてツルツルの路面を歩くときや、砂利道で凸凹している道を歩くときって足関節の力の入り具合とか、意識してみると普段とだいぶ違いますよね。

そういう感覚を受容するメカノレセプターは前足部と母趾に集中しているとされています。

 

長下肢装具の歩行では、特に前足部~中足部の外側の荷重移動が困難になります。

足底に測定圧計を差し込んで実際に調べた結果です。

 

ちなみにこれは介助歩行するセラピストの技量にもよるので必ずしもそうではないです

 

 足部内各関節の副運動や足関節戦略の抑制

ここでバランスのストラテジーの話をします。

股関節戦略はCOM(重心)が低くなり物体としての安定性が増します。

一方で足関節戦略はCOM(重心)の高さが維持されており効率が良いです。

 ⇒身体の上下移動が少なく、動作を行う上で足関節戦略の方が効率的

 

装具装着下では継ぎ手の設定により足関節底背屈による前後方向の制御は行えます。

しかし、足部内の細かい副運動(中足骨の回旋や中足骨同士が開いたり閉じたりするような運動も含め)、

足関節内外反やそれに伴う足趾の長軸回旋が抑制され、前後左右(特に左右)方向への細かい制御が困難となります。

 

また股関節戦略の多用につながるため、臨床的には特に股関節・体幹屈曲でのバランスを保持することになり、抗重力伸展活動が阻害されやすくなります。

 

歩行中のロッカー機能の抑制

長下肢装具装着下(膝固定)では、heel rockerでの膝屈曲(大腿四頭筋の遠心性収縮)による衝撃吸収が阻害されます。

足底部を固定している事により、forefoot rockerによる重心の前上方への修正が阻害されます。

 

代償動作の誘発

 

➀ 装着側の遊脚初期に、非装着側の足関節が底屈するパターン

➁ 装着側の遊脚期に非装着側の股関節外転にともない、体幹が非装着側に傾斜するパターン

➂ 装着側の遊脚期に体幹の傾斜が生じずに骨盤挙上が起きるパターン

 

これら3パターンの代償動作がみられます。

 

これらはトゥクリアランスを確保するために意図的に行っており、振り出しが努力的な活動となっています。

 

また…

①、③のパターンはカウンターアクティビティを用いた代償で、非装着側の筋活動が大きい

 ⇒麻痺側の連合反応を誘発させやすい

 

②のパターンはカウンターウェイトを用いた代償で、筋活動はやや少なめだが、非装着側へのアライメントの崩れが大きい

 ⇒非装着側の抗重力伸展活動の阻害

 

につながり代償運動がでていることで、さらなる弊害を生み出しています。

 

長下肢装具の意味合いを自分なりに考える

●足底感覚が入力されることで神経システムが働いて抗重力伸展活動がなされるが、

そもそもそのための収縮力がない場合に長下肢装具を使用して股関節や骨盤周囲の収縮力を高めるためのデバイス

●左右対称的な立位をとれることで、正中位指向が獲得できる

●左右対称的な立位がとれることや麻痺側へ荷重をかけれることで姿勢制御ネットワークを賦活できる

●歩行のためのデバイスではないので、装着しての杖歩行などは代償を強めるリスクが高い。装着下での歩行は介助でのフリーハンドの歩行がベスト

●治療用装具のためカットダウンしていくことが前提

デメリットを少なくし効果を最大限にするためにどうすれば良い?

●距腿関節や足部内の関節の運動性や、感覚を受け取るための柔軟性の確保する

装具装着の有りと無しで、筋活動やアライメントの変化・足底感覚(荷重の感覚などの変化)に対する反応・抗重力伸展活動の活動性などの細かい要素の変化をとらえる評価する

●細かい期間での再評価による装具のカットダウンや解除していく

●目標の能力を獲得できたかを評価し、できていないのならなにが足りないのかを考察する力を養う

まとめ

長下肢装具はメリットが多いと考えていますので、いまでは使用した方がいいと判断できたら積極的に使用しています。

しかし、やはりデメリットがあることは確かで、使用方法を誤れば代償動作を助長させることになります。

「エビデンスにのってるからただ長下肢装具をつけて歩けばいい」にならないようにセラピストのスキルと知識を深めていきたいです。

 

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