関節水腫とは
関節水腫とは、膝の腫れを伴う膝の痛みの一因で、膝関節内に滑液が過剰に溜まる状態を指します。
通常、膝関節内には1-2mlの滑液が存在しますが、この量が増えると「膝が腫れている」や「膝に水が溜まっている」という症状が現れ、専門的には「関節水腫」と呼ばれます。
滑液は関節をスムーズに動かすための潤滑液です。
"【膝関節水腫】症状
関節水腫が生じると、関節に炎症が起きていることを意味し、以下のような症状が現れます。
– 疼痛
– 熱感
– 膝のだるさ・重さ
さらに、関節内の圧力が高まることで関節包や靭帯組織のメカノレセプターが反応し、大腿四頭筋の収縮が反射的に抑制される「関節原性筋抑制(AMI)」が生じます。これにより、大腿四頭筋の筋力低下が起こります。
関節原性筋抑制は、筋収縮・筋出力を抑制することで関節を保護する役割を果たしています。
膝関節水腫の主たる原因疾患
関節水腫の原因は多岐にわたり、以下にいくつかを紹介します。
1.変形性膝関節症
膝OAでは、関節軟骨のⅡ型コラーゲン繊維とプロテオグリカンが変性し、軟骨の構造に異常が生じます。
これにより、関節の機能障害が発生し、滑膜が過剰に滑液を産生して関節水腫が生じます。
2. 半月板損傷・靭帯損傷
半月板は膝のクッション、靭帯は関節の安定機構として機能します。これらが損傷すると炎症が起き、腫脹が生じます。
3. 関節リウマチ
関節リウマチは自己免疫疾患であり、免疫細胞が自己の関節を攻撃し、滑膜に炎症を引き起こして滑液が過剰に産生されることで関節水腫が生じます。
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【関節水腫】水を抜くとクセになる?
膝の水を抜くと「クセになる」という話をよく聞きますが、これは誤解です。
水を抜いて痛みが落ち着いたからといって長時間歩いたり、走ったりとその人の膝にとって大きなストレスを繰り返しかけるとまた同じように水が溜まってしまいます。
水を抜くことは、関節原性筋抑制を抑え、疼痛を軽減するなどのメリットがありますが、その後の対応や行動に注意することが重要です。
関節水腫の診断
膝関節水腫の診断には、いくつかの方法があります。まず、超音波、X線、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像(MRI)などの画像技術が用いられます。これらの技術は膝関節内の詳細な状態を把握するのに役立ちます。
代表的な診断方法として、膝蓋骨タップテスト(ダンシングパテラサイン)があります。このテストでは、医師が膝蓋骨に下向きの圧力をかけます。
その後、膝頭が跳ね返るようであれば、膝頭が関節液の上を泳いでいることを示し、膝関節水腫の確実な診断ができます。
また、別の検査法では、滑液包の中の液体を移動させ、その中に入っている関節包を叩いたり撫でたりします。
関節液が溜まっていると、膝関節の外側に少し膨らみが見えるようになります。
これらの方法を組み合わせることで、膝関節水腫の診断精度を高めることができます。