ディープバックアームラインとは
ディープバックアームライン(DBAL)とはアナトミートレインの筋膜ラインの1つです。
Deep back arm lineと英語では表記します。
体幹から上肢まで連結するラインは4つあり、そのなかの後面・深層に走るラインになります。
"ディープバックアームラインの走行
筋のつながり
肩甲挙筋、菱形筋 肩腱板筋
↓
上腕三頭筋
↓
尺骨骨膜に沿った筋膜
↓
尺骨側副靭帯
↓
小指球筋
骨のつながり
肩甲骨内側縁
↓
上腕骨頭
↓
尺骨肘頭
↓
尺骨茎状突起
↓
三角骨、有鈎骨
↓
小指外側
DBALの機能と特徴
DBALは主に上肢の後外側を安定化させています。また、ローテーターカフの4つの筋の内、棘上筋・棘下筋・小円筋の3つの筋が含まれており、肩の安定化の役割があることがわかります。
それでは詳しく解説していきます。
3つの腱板筋群が含まれる
DBALを構成している筋にはローテーターカフの4つの筋の内3つが含まれています。
ローテーターカフは肩甲骨の臼蓋に対する上腕骨頭の安定化に大きく寄与しており、肩の運動には欠かすことのできないものです。
そんなDBALはローテーターカフだけではなく、菱形筋や上腕三頭筋、小指球にまで付着していることが大きなポイントになります。
現代人はスマホやパソコンを多用するため母指を使用する頻度がとても多いでしょう。
しかもスマホを使っているときの姿勢を想像すると、顔は下を向き、肩甲骨は外転し胸椎の後彎は増強し、肩内旋、肘屈曲、そして母指で操作しています。
前面のアームラインを多用していることがこの姿勢で想像ができます。
ずっと前面のアームラインが働きDBALは働いていないため、ローテーターカフも働きづらくなっている、弱化していることが考えられます。
こうなると上腕骨頭の安定を表層の筋で代償したり、安定性が損なわれてインピンジメントを引き起こす可能性が高くなるかもしれません。
腱板断裂術後やインピンジメントの症例の治療には肩だけではなく、手指や肩甲骨のアライメントなども考慮する必要があることがあるのかなと思います。
"DBALを考慮してリハビリに応用する
このラインは腱板筋を含んでおり、腱板損傷などの肩のリハビリをする際には絶対に押さえておきたいラインになります。
腱板損傷の人は上肢挙上時に肘が曲がったまま挙上するケースが多いです。上腕二頭筋長頭で代償しているのでしょうか。
しかし、DBALの連結では腱板筋から上腕三頭筋の連結のため、二頭筋を使用してしまうと三頭筋が使われなくなり腱板筋も働きずらくなることが考えられます。
そのため、肘はしっかり伸展させて上肢挙上する必要があります。
また、小指球筋と尺側の骨膜にも連結していることから、小指でなにかを握らせ尺屈の操作を加えることで肘屈曲を抑制でき肘の伸展を促せると思います。