超音波療法とは
超音波とは、人の耳では聞こえない20kHz以上の高周波のことを指します。
超音波療法では、この超音波による振動を利用して、温熱作用と非温熱作用によって外傷の治癒促進や痛みの軽減などを図ります。
スポーツ分野で幅広く活用されており、いまでは家庭用の超音波治療器が販売されています。
超音波治療では1MHzと3MHzの周波数を使用したり、間欠波と連続波のモードをそれぞれ目的に合わせて使い分けていく必要があります。
以下で周波数やモードによる目的や原理を解説していきます。
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超音波の周波数
超音波とは20kHz以上の周波数のことですが、超音波療法では1MHzか3MHzのどちらかの周波数を使用します。
深達度:1MHzのほうが3MHzより深く伝播
1MHzでは皮膚から2~5㎝まで
3MHzでは皮膚から2㎝まで伝播
収束:3MHzのほうが1MHzより収束
温熱療法のなかでは最も深部まで加熱できることがわかります。
ターゲットとする組織によって周波数を選択しましょう。
連続波と間欠波
超音波が時間あたりに照射されている割合が照射時間率です。
連続波:温熱作用。照射時間率100%。慢性期の疾患や疼痛で使用します。
間欠波:非温熱作用。照射時間率5~50%。非温熱作用であるため、急性期でも利用可能です。
間欠波では作動していない時間と作動しているが交互にあるため、作動しているときに発生した熱が作動していない時間に発散するため温度は上昇しません。
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超音波療法の生理学的作用
超音波療法では、超音波による振動が生体で熱エネルギーに変換されることでの温熱作用と、微細振動による非温熱作用(機械的効果)の二つがあります。
温熱作用
他の温熱療法と同様ですが、超音波療法ではより深部まで加熱することができます。
- 鎮痛作用
- 痙性の減弱
- 精神的な作用で全身の緊張を緩和
- 組織代謝の亢進
- 血管の拡張
- 軟部組織の伸張性増大
非温熱作用
- 超音波は深部まで到達するため、微細振動が骨を刺激して、骨癒合を促進させます。
- 微細振動が組織液の小さな気泡を圧縮・拡張させることで、細胞膜を刺激して細胞を活性化させます(キャビテーション効果)。それにより、炎症の治癒や浮腫を改善させます。
超音波療法の禁忌
温熱療法全般の禁忌としては
- あるゆる疾患の急性期
- 悪性腫瘍
- 感覚障害
- 出血傾向
- 循環障害・閉塞性の血管疾患
- 皮膚の感染性疾患
超音波療法に特有の禁忌として
- 眼
眼に超音波を照射することで組織の空洞化お招くため絶対にやってはいけない!!
- 脳や脊髄に対する照射
- 妊娠している方の腹部
深部まで加熱するため羊水まで加熱がおよぶため
- 睾丸部
- ペースメーカを埋め込んでいる場合
ペースメーカーを破損してしまうため
超音波療法の実際の使用方法
超音波の導子の当て方により方法が異なります。
・直接法 ⑴ストローク法
⑵回転法
・水中法
直接法
➀まずは禁忌事項について確認をします。
➁患者さんに患部に照射できるように楽な姿勢をとってもらいます。
➂超音波治療器の周波数、強度、治療時間を設定します。
➃患部にカップリング剤を均等に塗ります
カップリング剤の厚さは5mm程の厚さになるようにします。
➄導子のヘッドを患部にかるく接触させながらゆっくり移動させます。
導子の移動のさせ方で2種類の方法があります。
・ストローク法→導子を直線的に反復させます。
・回転法→導子を円を描くように動かします。
➄都度、患者さんに温度感を確認しながら5~10分程行います。
水中法
手部や足部などの凹凸がある箇所に対して水中法を用います。
➀水道水はできれば一度煮沸したものを使用します。煮沸していなければ透過率がおよそ30%低下するからです。
➁患部を水槽に浸します。
➂導子を水中にいれて、患部から1㎝程度離して照射します。
※このときに施術者の手も水中につけてしまわないように注意しましょう。施術者の手に超音波が反射して照射されてしまうからです。