小脳出血の症状や原因は?麻痺はでないがめまいや失調、ふらつきが特徴



小脳出血とは

小脳とは、脳幹の背側に位置しており、中部・半球・片葉小節葉からなります。

役割としては、四肢の動きを調整して協調的な運動を行えるようにしたり、

体幹の動きも調整し立位や歩行時にふらつかないようにしたり、眼球運動や平衡を調節しています。

小脳出血は全部の脳出血のなかで10を占めます。

脳出血であるため、高血圧が原因として発症します。

小脳出血で特徴的なのは、小脳は後頭部に位置するため「激しい後頭部痛」と四肢・体幹の調整をしているため

「失調・起立歩行が困難」、調整することが主な役割のためいわゆる「片麻痺の症状はない」といった点です。

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小脳出血の症状

上述しましたが、小脳出血ではいわゆる「片麻痺の症状はでない」ことが特徴です。

感覚障害もありません

では、どんな症状がでるのか特徴的なものを紹介していきます。

頭痛・嘔吐・めまい

小脳は後頭部に位置しているので、出血すると突然の激しい後頭部を引き起こします。

また、回転性のめまい、繰り返す嘔吐が発症時の典型的な症状になります。

 

嘔吐やめまいは前庭小脳が損傷されて平衡調整と眼球運動が障害されるために引き起こされます。

ちなみに前庭小脳は前庭入力と視覚入力を受けるため、平衡調節、他の前庭反射、眼球運動に関与します。

 

後頭部がないにもかかわらず、小脳症状が出現した場合は小脳梗塞を疑います。

運動失調

小脳は四肢・体幹の運動を調整する役割を担っています。

そのため、小脳が損傷すると円滑な運動ができなくなります。

・四肢の円滑な運動ができなくなる

・ろれつがまわらなくなる

・座位や立位でふらつく

・歩いてもふらつくため、足を横に開いて歩く

小脳の部位によって支配領域は異なっています。

 

中部は体幹を支配し、傍中部~半球は四肢を支配しています。

前庭小脳は平衡を支配しているので前庭小脳の損傷でも体幹部の動揺は出現します。

また同側性に下行するため、右小脳出血の場合は右上下肢の運動失調が出現します

 

被殻出血などは損傷半球と対側の上下肢に麻痺が出現するので注意が必要です。

共同偏視

共同偏視は左右の眼球が同じ方向を向いてしまう状態のことであり、

小脳出血では頻度は高くはないが、損傷半球とは逆の方向を向く共同偏視が出現します。

視床出血や被殻出血でも出現します。

被殻出血では損傷半球のほうへ向き、視床出血では、鼻先をにらむような共同偏視が出現します。

 

 

重症例では意識障害

小脳出血での血腫が大きい場合は、意識障害が出現します。

小脳は脳幹のすぐ背側に位置するため、血腫によって脳幹が圧迫されることで意識障害が引き起こされるのです。

小脳出血を起こしたらどんな治療法が行われる?治療についての概略

血腫の大きさによって外科的な治療をするか内科的な治療するかを選択します。

●血腫径が3㎝以下の場合、内科的治療(保存的治療)

●血腫径が3㎝以上の場合は、開頭or内視鏡下血腫除去術(急性期)

               定位的or内視鏡下血腫吸引術(亜急性期)

(引用一部改変:病気がみえる脳・神経)

 

内科的治療としては厳重な血圧管理と脳浮腫の管理が主な治療になります。

高血圧は再発のリスクが高いので降圧剤で血圧のコントロールをします。

また、体内の水分の量も非常に重要になってくるので、点滴での輸液をしながら水分の摂取量と排泄量のイン・アウトバランスを調整します。

 

比較的症状が落ち着いたら早期からリハビリテーションをし、後遺症が少なくなるように内科的な治療と並行しながら進めていきます。

 

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小脳出血の原因と出血を起こす血管

小脳出血の原因は高血圧にあります。

小脳出血だけではなく脳出血を起こす原因は高血圧であることがほとんどです。

 

日中の活動的な時間に発症することが多く、激しい後頭部痛、めまい、嘔吐、起立・歩行障害が出現します。

 

小脳動脈の破綻

上小脳動脈は脳底動脈から分枝して、小脳に血液を送っている。

小脳出血はこの上小脳動脈の分枝が歯状核近傍で破綻して起こることが多い。

(引用一部改変:病気がみえる脳・神経)

小脳を栄養する血管は上小脳動脈、前下小脳動脈、後下小脳動脈がありますが、小脳出血は上小脳動脈が破綻することで起こることが多いようです。

 

小脳出血の予後

小脳出血では血腫が大きく脳幹を圧迫してしまうと、意識障害を引き起こします。

脳幹を圧迫してしまう場合は手術が必要になりますが、すぐそばに脳幹があるので、手術もリスクがあります。

血腫が3㎝以下の大きさで脳幹を圧迫していなく手術も必要ないケースではリハビリによって回復しますが、

血腫が大きく手術適応のケースでは予後不良の場合が多いようです。

 

 

 

参考図書・教科書