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変形性膝関節症(膝OA)でなぜ内反変形が進行するのか
健常な膝において、歩行時における床反力作用線は膝関節の中心よりやや内側を通ることが多いでしょう。
膝関節の内側を通るということは、このとき膝には外的な内反モーメントが加わっていることになります。
膝OAにおいて、日本人のほとんどは膝内反変形を呈し、要因はさまざまだが膝内反モーメントが過大になってしまうのです。
この過大な膝内反モーメントは膝の内側コンパートメントに大きな圧縮ストレスをもたらし、
膝の内側に位置する軟骨の摩耗や内側半月板損傷を招きます。
それによりさらに内反変形が進行し、さらに膝内反モーメントも増加することで、痛みや変形の進行がすすんでしまう悪循環となります。
膝OAの病態とリハビリについての記事はこちら
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膝OAにおける静的要因での内反モーメントの増大
1.内反膝、内反股、過大な大腿骨前捻角、過大な脛骨内捻角
膝の内反変形は直接的に膝内反の程度は臨床的にはレントゲン写真にて大腿脛骨角(FTA)や下肢機能軸(Mikulicz線)を参考に評価します。
“]2.膝外側支持機構の機能不全
膝外側支持機構は外側側副靭帯(LCL)、膝窩筋複合体、弓状靭帯、後外側関節包によって構成されています。
これらのなかの特にLCL、膝窩筋腱、膝窩腓骨靭帯を主とする後外側支持機構が脛骨の外旋と内反を制動しています。
膝OAにおける動的要因での内反モーメントの増大
1.荷重時における脛骨内旋の減少
健常の膝において、荷重をすると脛骨は大腿骨に対して内旋しますが、膝OAでは荷重時の脛骨の内旋が減少していることがわかってきました。
内側型膝OAが進行すると内側半月板の後節に変性断裂が生じること、
TKA術において脛骨内側関節面の後方に骨欠損が認められることから、脛骨が外旋し膝内反モーメントが増大していることがわかります。
脛骨が外旋し、股関節の外旋することで膝関節は外側に牽引され膝内反モーメントが増加します。
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2.股関節の外旋化
膝OAでは股関節内旋可動域の低下が認められ、膝OAの進行するとともに、その傾向も顕著となることが報告されています。
また、膝OAでは歩行時に股関節を外旋させる歩容であることが多く観察できます。
股関節を外旋させて、日常生活を生活することでさらに内旋可動域は減少し、
股関節の汎用可動域を外旋方向へ偏移することで膝関節が外側へ移動するため、下肢全体のアライメントは内反アライメントを増悪させます。
“]3.足関節背屈可動域の低下
足関節の背屈制限は膝OAに限らず高齢者にも必発します。
この背屈制限によって歩行時のTstが不足するため、それを代償するために股関節を外旋させて歩行します。
股関節の外旋は下肢全体の内反アライメントを増大させる要因になり、
また足関節背屈可動域の低下は距骨下関節における回内や内側縦アーチ低下などにより代償され、膝OAでの回内偏平足を悪化させます。
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4.脛骨内捻
膝OAにおいて特徴的な下肢アライメントは膝内反および脛骨外旋位になります。
膝内反すると脛骨の関節面は外側傾斜するため本来であれば、足部は外側接地になることが予想できます。
しかし、膝OAではこの下腿の外側傾斜に対して足部が回内扁平位をとり代償していることが多いです。
これにより足部の回内扁平に伴う距骨下関節の回内が遠位の脛骨を内旋させ、
近位の脛骨では外旋するような捻じれのストレスが加わることになります。
このアライメントは膝OAに特徴的な脛骨内捻の増加を引き起こし、膝内反アライメントを増加させます。