長母趾屈筋はその名前のとおり母趾を屈曲するんだなー
というのはなんとなくわかると思います。
歩行の時の蹴り出しの役割も担いますし、重要な筋ですが
長母趾屈筋は臨床上チェックしとくべき特徴をもっているのです!
では今回は、長母趾屈筋の解剖学から触診方法、筋の特徴などなど解説していきます!
長母趾屈筋の解剖
長母趾屈筋(flexor hallucis longus)
起始:腓骨後面下方1/3、下腿骨間膜後面下部
停止:母趾末節骨底
作用:母趾屈曲、内側縦アーチ保持
神経支配:脛骨神経(L5~S2)
長母趾屈筋の作用
足趾の屈筋は長母指屈筋と長趾屈筋がありますが、
長母趾屈筋は第2~5趾を屈曲させる長趾屈筋よりも厚い筋腹をもっています。
足部の内側縦アーチ形成に作用する
足部は衝撃吸収の面において非常に重要なアーチ構造をしています。
そのなかでも内側縦アーチを形成するために長母趾屈筋が貢献しています。
静止時では靱帯で支持されています。
スプリング靱帯、距踵靱帯、楔舟靱帯などが関係しています。
動作時は筋肉によってアーチ構造が支持されています。。
前脛骨筋、後脛骨筋、長腓骨筋、長母趾屈筋、短母趾屈筋、長趾屈筋、母趾外転筋などの筋肉ですが、母指の筋肉って多いですね!
内側縦アーチが機能することで、歩行時などの足趾が伸展した時にアーチが安定して、
前足部で床を蹴るときに安定し強い力を出すことができます。
歩行時の前方推進力を担う
歩行では、立脚期の足底の重心移動をみてもらうとわかりますが、
踵から足底外側を通って最後は母趾のほうに体重が移動していきます。
立脚終期のヒールオフからトゥーオフ直前の蹴り出しの歩行相にて
母趾に一番体重がかかっているわけです
前方推進力は股関節の伸展位よるところも大きいですが
ヒールオフで母趾が伸展し長母趾屈筋が伸長されることによる内側縦アーチの剛性が高まり、
安定したターミナルスタンスひいては前方推進力につながります
長母指屈筋の触診
長母趾屈筋は下腿の深層の筋であり、筋腹はちょっと触診しにくいです
腱はかなり容易に触れることができます!
まず膝関節屈曲位として足関節背屈します。
第2~5趾は長趾屈筋をゆるめるために徒手で屈曲させておきましょう
そして母趾を伸展させると足底の内側縦アーチらへんに健を触れることができます
長母趾屈筋のストレッチ
長母趾屈筋は起始と停止の関係からまず外反方向へ誘導することで伸張率をアップさせることができます。
先ほどの外反位を保ちながら、足関節と母趾を伸展させます。
足底から下腿後面が伸張感を感じる場所で30秒ほど静止します。
ゆっくりとストレッチを解き、元の位置へ戻ります。
長母趾屈筋のストレッチは、その働きである底屈と屈曲の逆、背屈と伸展でストレッチすることができます。
長母趾屈筋のストレッチは膝を曲げ、手で他動的に足首を背屈、外反させておいて母趾を限界まで伸展することでストレッチできます。
母趾だけ掴んで伸展させれば長母趾屈筋がストレッチでき、
他の4本の指をつかんで伸展させれば長趾屈筋がストレッチできます。
長母趾屈筋の筋力トレーニング
長母趾屈筋は母趾を屈曲する筋肉ですからタオルギャザーや屈伸なども筋トレになるでしょう。
ですが、“使える筋肉”をつけるためには日常の生活に即した収縮様式を取り入れた方がいいです!
長母趾屈筋は普段CKCでの運動で使われることがほとんどでしょう。
つま先立ち
つま先立ちは下腿三頭筋だけのトレーニングだと思ったら違いますよ!
意識の仕方や方法で長母趾屈筋にもしっかりと収縮します!
1.立位で母趾はつま先が前方に引っ張られるように遠くに伸ばして接地。
これにより母趾が屈曲しないことを意識させます
2.体重を母趾の指腹と母指球に移動し支える
3.母趾の指腹と母指球で地面を押すイメージで踵をあげる
歩行
日常の歩行でもトレーニングができます。
意識ひとつでいいのです!
最後の蹴りだしのときに母趾で蹴ることを意識してみましょう。
ターミナルスタンスでヒールオフして母趾がしっかり伸展してから母趾の屈曲の力を使うことが大事です。
大股で歩いてみるといいでしょう!