外反母趾とは?
外反母趾は、足の親指の第2関節にあたる第1中足趾節関節(MTP関節)の変形です。
正常なMTP関節の角度は10〜15°ですが、20°を超えると高度な外反母趾と判断されます。
女性に多く見られるこの疾患は、10:1の割合で女性に多いと言われています。
"外反母趾の原因
外反母趾の原因として、内因性と外因性の2つが挙げられます。
内因性
内因性の問題としては、女性に多い関節弛緩性などがあり、結合組織が弱いためにMTP関節の安定性が低下することが指摘されています。一方、
外因性
外因性の問題としては、靴の影響があります。
特に女性がよく履くハイヒールは、踵部分が小さいためMTP関節で体重を支えることが多く、また、つま先が狭い形状のため母趾が外反を強制されることになります。
外反母趾が進行すると、種子骨周囲のバランスが崩れ、第一中足骨の回内を引き起こし、さらに外反を悪化させる悪循環が生じます。
このため、進行を抑えることが重要です。
外反母趾を起こしやすい生活習慣
靴の種類や履き方によって外反母趾の発症リスクが変わることが知られています。
例えば、幅の狭い靴を履くと鶏眼(魚の目)や胼胝(タコ)、外反母趾が増える傾向にあります。
また、かかとの高い靴は胼胝と外反母趾の発症リスクを高めます。
靴を履く習慣がある人は、はだしの人に比べて明らかに外反母趾を発症しやすくなります。
特に幅が狭いハイヒールは外反母趾発症のリスクを高くすることが確かです。
ただし、どの種類の靴をどの程度の時間履くと発症するのかという詳細なデータはまだ明らかになっていません。
一方、靴の装用以外の生活習慣が外反母趾の発症に影響を与えるという報告はなく、特定のスポーツが外反母趾を引き起こすという証拠もありません。
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外反母趾の治療、リハビリ
① 靴指導
痛みを軽減し、変形の進行を抑えるためには、拇趾のつけ根がフィットし、指先がゆったりした形の靴を選ぶことが推奨されています。
ヒールは低く、柔らかい素材の靴が理想的です。
さらに、アーチを補強するインソール(中敷き)の併用も有効です。
市販のインソールが合わない場合は、医師の処方の下、義肢装具士がオーダーメイドで作る方法もあります。
② 装具療法
装具療法は、痛みを和らげるためのパッド、歩行時や夜間に使用する矯正用装具、そしてアーチを補強するインソールの3つに分かれます。
これらは痛みの軽減に効果がありますが、使用を中止すると痛みが再発することがあります。
矯正用装具はHV角を3~7度程度改善する効果が期待されますが、その効果は確実ではありません。
③ 運動療法
Hohmann体操は、ゴム紐を両足の母趾にかけて離す方向に力を入れる運動で、軽度から中等度の外反母趾に対して痛みを軽減する効果が期待されます。
また、足の指でグー・パーを作って指を開く母趾外転筋運動も、軽度から中等度の外反母趾に対して若干の変形矯正効果が期待されます。