後頭葉の機能と障害を理解しよう



後頭葉とは

後頭葉は、大脳の最も後方にあり、側頭葉と頭頂葉と隣り合っていますがその最も後下方に位置する部分で、それらとの境界は不明瞭です。

後頭葉は、5つの視覚野にわけられており、一次視覚野(V1)から五次視覚野(V5)に分類されます。

V2~V5はV1の前方に位置していることから、V2~V5までを合わせて視覚前野とも呼びます。

 

一次視覚野V1

視覚情報から色や形、動きなどの情報を抽出し、高次の視覚野へと送る働きがあります。

 

視覚前野V2~V5

一次視覚野からの情報を処理し、それらを統合し、物体の認識や空間認知を行う働きがあります。

 

 

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後頭葉の機能

・後頭葉には、一次視覚野と視覚前野(視覚連合野)があり、色や形情報など、視覚とその認識に関与します。

・視覚情報→網膜→視神経(Ⅱ)→外側膝状体→視放線→一次視覚野→V2→V3→V5→頭頂連合野

↳V4→側頭連合野

という流れで見たものが何でどこにあるのかが認識されます。

 

・網膜から送られてきた視覚情報が一次視覚野で形・色、動き・奥行きが抽出されてV2に情報が送られます。

V2は送られてきた情報の仕分けを行っており、背側視覚路と腹側視覚路に分けられます。

背側視覚路には動きや奥行の情報が伝わります。そして視覚情報がV3(奥行き・位置)・V5(動き)を介して頭頂連合野に伝わり、これによって「見ているものがどこにあるか」が判断されます。

腹側視覚路には形・色の情報が伝わります。V4を介して側頭連合野に伝わり、これによって「見えている物が何であるのか」が判断されます。

 

 

 

後頭葉の障害で現れる症状は?

一次視覚野が損傷された場合と視覚前野が損傷した場合の大きく2つにわけられます。

・一次視覚野の損傷では、見えていないのに「見えてる」と主張するAnton症候群

・視覚前野の損傷では、見えているのに認識できない失認

が症状として挙げられます。

 

 

Anton症候群(アントン症候群)

一次視覚野が損傷されると、全部または一部の視覚を失っていながら、「見えている」と主張することがあります。

また、視覚障害の証拠に直面しても、作話によって視覚障害を否定しようとすることもあります。

これをAnton症候群といいます。

症例は稀であり、なぜ目が見えなくなっていることを否認するのかは結論が出ていません。

 

 

視覚前野の障害

視覚前野の障害によって、物体失認、相貌失認、色彩失認、視覚性運動盲症状があらわれます。

これらは、側頭連合野や頭頂連合野の障害によってもみられます。

 

物体失認

見ただけでは、それが何であるのか分からないが、視覚以外の感覚を使えば分かる。

 

相貌失認

身近な人や、よく知っている人であるにも関わらず、顔を識別できなくなる症状があらわれます。

しかし、声を聞けば分かることもあります。

 

色彩失認

色を識別できず、全てモノクロ状態でしか見ることが出来なくなります。

これは主にV4の障害で生じます。

 

視覚性運動盲

動いているものを認識出来ず、見えているものが静止画として見えます。

紙芝居のようなコマ送りのように見え、主にV5領域が障害されたことによって生じます。

もっと遠くにいると思っていたものが、突然目の前に現れたように見えてしまう症状です。

 

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