脳卒中リハビリと姿勢制御➁~網様体脊髄路~【ボバースコンセプト】

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姿勢制御と網様体脊髄路

網様体脊髄路は皮質網様体脊髄路の一部であり、皮質から網様体までの経路を「皮質網様体路」、網様体から脊髄路までの経路を「網様体脊髄路」といいます。

網様体脊髄路は、姿勢や歩行に関与する「腹内側系」の主要な運動性下行路になります。

腹内側系と背外側系の記事はこちら

名前の通り、網様体から脊髄に下行しています。

橋と延髄の網様体から起始して頸髄から仙髄の各分節に投射するため、全身の筋緊張や抗重力運動、運動時の体幹筋部の調整などに関与しています。

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網様体脊髄路は2つの経路からなる

網様体脊髄路は、橋網様体および延髄網様体の内側部から下行し、それぞれ橋網様体脊髄路、延髄網様体脊髄路にわかれます。 

網様体脊髄路の考えを応用して実際に介入したので、その記事はこちらです

                   

橋網様体脊髄路

橋の網様体から脊髄に下行する網様体脊髄路で、同側の前索を下行します。

役割としては、主に同側の体幹、骨盤帯や肩甲帯などの四肢近位部の筋緊張のコントロールであり、

運動の開始前に適した姿勢筋緊張を調整する準備的先行性姿勢調整機能に関与しています。

また、

・同側性に下行する経路が80%

・両側性に下行する経路が20%

このように同側性に下行している経路が多いため、一側の半球が損傷して、片麻痺が生じたとしても、体幹部に関しては両側性に麻痺(障害)が生じてしまいます。

 

延髄網様体脊髄路

延髄の網様体から脊髄に下行する網様体脊髄路で、両側性に下行しますが多くは同側に下行します。

役割としては、主に四肢近位部の筋緊張を調整して安定させることであり、上肢のリーチ運動に関与しています。

歩行時ではセントラルパターンジェネレーターに関与して歩行時に下肢の運動の制御をしています。

また、運動を行っている経過中にその状況に適した姿勢筋緊張を調整する随伴的先行性姿勢調整機能に関与しているとされます。

姿勢制御の記事に関してはこちら

皮質から網様体への投射と姿勢制御

さきほども述べましたが、私たちは運動の際に無意識的に姿勢筋緊張を調整して効率的に上下肢の操作ができるようにしています。

例えばコップをとる動作を例にすると、上肢をリーチする前に橋網様体脊髄路によって体幹・四肢近位部の緊張を調整し上肢を動かしやすい姿勢の準備をし、

リーチ動作中は延髄網様体脊髄路によって重心の変化に見合った姿勢の緊張状態をつくっています。

 

網様体脊髄路は、皮質網様体脊髄路の一部であり、皮質から網様体の神経細胞に投射されています。

この起始している皮質は運動前野(6野)や補足運動野になります。

運動を行う際には

まず運動前野や補足運動野で

  • 姿勢制御
  • 巧緻運動

という2つのプログラムが生成されます。

この2つのプログラムの経路は

姿勢制御では、

・補足運動野や運動前野→皮質網様体路→網様体脊髄路→姿勢制御

巧緻運動では

・補足運動野や運動前野→一次運動野(4野)→皮質脊髄路→巧緻運動

となります。

一番最初に興奮する皮質は同じですが、その次に投射される場所が違うことがわかります。

姿勢制御は巧緻運動の経路と違い、補足運動野・運動前野のあとに皮質網様体に投射されているため巧緻運動前に姿勢制御がなされているのです。

長下肢装具で治療をすすめていくためには網様体脊髄路の知識が必要です

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まとめ

運動における姿勢の安定は効率的に運動を行うために不可欠になります。

中枢部がグラグラしてるのに上肢を動かしたら重心の変化に耐えられず倒れてしまう、

また他の部位が代償して踏ん張りすぎて過剰な努力から連合反応につながることもあります。

四肢を軽く楽に動かすために、麻痺の分離運動のためには、体幹は両側性に支配されているから片麻痺でも体幹部は両側性に麻痺が生じていることを考慮してリハビリ介入していく必要があります

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