ボバースコンセプト(概念)と姿勢制御をわかりやすく解説

脳 イラスト



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基礎講習会を受講し、自分なりにボバースコンセプトというものをアウトプットします。

もちろんこれがすべてではなく、簡単にこんなものと自分は解釈しているといったものになります。

基礎講習会を受講しての感想はこちら

ボバースコンセプト(概念)とは?

イギリスの医師である故カレル・ボバース博士と理学療法士のベルタ・ボバース夫人により提唱された、リハビリテーション治療概念のひとつです。

脳や脊髄といった中枢神経系の可塑性を活用し、中枢神経疾患に起因した障害をもたれた方々の機能改善をめざす治療です。

概念であり、よく「ボバース法」「ボバースアプローチ」などの色々な呼び方がされますが、決まったマニュアルがあるわけではありません。

ボバースコンセプトは、中枢神経系の損傷により失われた機能、運動、姿勢コントロールにおける個人個人の問題に対して、評価と治療を行う問題解決アプローチになります。

 

ボバースコンセプトの目標

促通を通して姿勢コントロールと選択的運動を改善することによって機能を最善にすることにあります。

機能が最善になることは、患者さんの生活の質が向上することと捉えることができます。

そのためFIMの点数では変化は無くても、動作の質、つまり効率性が良いことを目指します。

たとえば歩行で、杖を押し付けて歩くのではなくて軽く地面につくだけで歩けることができれば、疲れなくて楽ですよね。

そういった楽に動作ができることを目指しています。

姿勢制御を考慮しながら治療をすすめた症例です

ボバースと脳の可塑性

中枢神経系は損傷をうけたら、そのときより可塑的活動を開始します。

中枢神経系の可塑的変化は環境によってかわります

そのため運動と感覚の協調、それを通してのボディイメージ、スキーマの構築を基盤として環境の刺激に対し適切な応答を行う事が正常な中枢神経系の回復につながるのです。

正常な協調性を患者が再学習していくことができれば、長期にわたる機能維持、機能改善が可能となります。

逆も然りであり、不適切な刺激が入力されると、それに合わせて可塑的変化をしていくということもいえます。

身体の各部位の相互関係の不良、非対称的な姿勢をつくってしまうと、さらに非対称的な姿勢パターンから非麻痺側の過剰な努力を行なってしまいます。

これにより非対称的なボディースキーマが作られ、それに基づく運動感覚が入力なされ誤学習が進み、姿勢を固定して運動を制限する方向の学習を続けます。

不適切な姿勢トーンの影響

 

1.非効率的な動作となる

(エネルギーが必要・・・疲労しやすい時間がかかる)

2.麻痺側を使用するチャンスをなくす

3.非麻痺側のスムーズな使用を制限する

4.パターン化した動作となる

(バリエーションがない、その方法でしかできない)

5.正しい感覚・知覚の情報が入りにくい

 

姿勢制御とは

この姿勢制御というのは、わたしたちが運動を効率よく行う為の基盤となるものです。

姿勢制御とは、運動を効率良く行うためにそのためのバランスを維持させるものであり、多関節に渡って運動が連鎖しながら安定と運動を協調的に駆動させています。

 

Sherrington(1906)

随意運動には姿勢制御が「影法師」のように附随する

 

Shumway-cook & H.Woollacott(2013)

空間で身体の位置を制御する能力は、人間の行う活動全てにとっての基礎である。すべての課題は姿勢コントロールを必要とする。

 

Gjelsvik(2008)

姿勢制御は、変化と適応の背景活動として人間にダイナミックな可能性を提供する。そして四肢の活動のダイナミックな変化のための、選択的コントリールの必須条件である

姿勢制御を考慮して治療をしました

バランスとは

■Steady state

-なにも動いていない状態でバランスを維持していること

-揺れていない状態であるが、呼吸による肋骨の動きや眼の動きなどで動揺しています

■Proactive balance

-不安定性を避けるために、何かをするためには前もって姿勢の動揺を少なくするための予測的に筋活動をおこす

ボバースコンセプトではどちらかというとこのプロアクティブバランスに焦点を当てている

■Reactive balance

-予期しない動揺から回復する能力

-立ち直り反応

-保護反応

予測的な姿勢制御

・運動開始100ミリ秒前に皮質橋網様体脊髄路が働き、右側の体幹・骨盤・四肢近位筋の筋緊張をコントロールします

先行性の姿勢コントロール

 

運動が開始すると、皮質延髄網様体脊髄路が働き、左前肢近位部の筋緊張をコントロールします。

随伴性の姿勢コントロール

ネコが左前足で筒の中の餌をとろうとリーチしている場面です。

シェペンはこの左前足の運動前に、左右の体幹・四肢にどのように姿勢が調整されるかを分析しました。

その結果、左前肢のリーチ運動の前に先行して体幹と頭頚部の抗重力筋の活動が生じる事がわかりました。

具体的には、右脳の皮質脊髄路からの指令で左前肢のリーチ運動の前に、100ミリ秒早くに右脳の皮質橋網様体脊髄路が働き、右側体幹に抗重力伸展活動を起こします

先行随伴性姿勢制御(APA)

APAは、生得的な反射によるものではなく、意図した運動を開始する前に上位中枢機構からの指令により発現しており、過去の体験記憶に基づいたフィードフォワード制御である。

 

①先行性姿勢調節

 準備的なAPA:運動が起こる100㎜秒前に起こる

 

②随伴性姿勢制御

運動が起こっているときに起こるAPA:

Feedback情報を用いたfeedforward制御

 

 

姿勢制御にはコアスタビリティが必要

体幹の深部筋群である多裂筋、腹横筋、腹斜筋からなる筋群の同時活動をいいます。

 

・下部体幹と頭部の安定性と、上部体幹の運動性が保障され、四肢の活動性を促通することができる。

・皮質神経支配が少なく、姿勢神経支配の影響を受ける

・腹内側系の橋・延髄網様体脊髄路が前庭脊髄路とともに、姿勢コントロールをメインに行う。

 

 

コアが安定するために下行性伝導路が重要

下行路の伝導路には大きく分けて、内側運動制御系と外側運動制御系があります。

内側運動制御系は主に姿勢筋緊張をコントロールしており、外側運動制御系は随意収縮をコントロールしています。

 

例えば、棚の高い位置にあるペットボトルをとる際に、上方へリーチして行くと思います。その際に体幹や胸郭が屈曲していると、上方へのリーチに制限が出てしまいます。

このとき体幹が崩れない様に抗重力伸展位に保つのにかかわっているのが内側運動制御系であり、物を取るためにリーチしている手は外側運動制御系になります。

網様体脊髄路

橋網様体脊髄路は脳幹の中心部にあり、大脳皮質、小脳、体性感覚路などの多くの場所からの入力を受け、様々な機能に関与している。そして、先行性の随伴性姿勢調節に関与しています。

この伝導路は同側性投射が約80%、両側性投射が20%であると報告されています。

結果として、一側の大脳運動領野が脳卒中による損傷を受けても、両側の体幹の麻痺が生じることを裏付けています。

つまりは、CVA患者は片麻痺ではなく、体幹部であれば両側性に障害を受けていることになります

長下肢装具の効果としてもこの網様体脊髄路の賦活が挙げられます!関連記事はこちら

延髄網様体脊髄路

延髄網様体脊髄路は橋網様体脊髄路と同様に両側支配です。

主に運動中に姿勢調節をしていて、随伴性姿勢調節に関与しています。

橋・延髄ともに両側性支配を基本としていて、この2つの経路は互いに密に調整することにより、歩行運動などの運動を制御しています。

外側前庭脊髄路

歩行や立位での重心移動で賦活され、歩行立脚期の接踵や離踵時に働きます

 

歩行中に外側前庭脊髄路を賦活するためには、橋網様体脊髄路による先行性姿勢調整(APAs)の中心であるCore controlやアライメントの整った足底支持面を用意する事が必要になります。

体幹が安定せず、ぐらぐらだと、代償によって、振り出し下肢のアライメントが乱れていたりして、踵接地にならずに適確な感覚入力がされづらいです。

また、患者さんで足底筋が硬くなっている人がいますが、そうなると皮膚などの固有感覚情報が上行してこないので、より、前庭脊髄路や橋網様体脊髄路は働きづらくなります。

足底からの情報が脊髄小脳路を上行する

足底から入力される皮膚・固有感覚情報は背側脊髄小脳路を介して小脳に上行し小脳中部から室頂核に入力されます。

室頂核ニューロンは左右の脳幹網様体と前庭神経核に投射しており、前者からは網様体脊髄路へ投射、後者からは外側前庭脊髄路へ投射されるため抗重力筋の活動が賦活されるのです。

 

内側前庭脊髄路

内側前庭脊髄路には主に頭頸部を安定させる働きがあります。

臨床場面で良くあるのは、例えば骨盤を座位で前傾したときに、橋網様体脊髄路の働きが弱くて、姿勢筋緊張の安定化が図れないと、体幹が屈曲した状態で、そのまま前方に前のめりになった状態になり、頭部が前後に揺れ動かされるので、過剰に前庭が興奮してしまい、肩甲骨を拳上し、頸をすくめて、上肢は挙上・屈曲で引き上げる姿勢をとってしまうことがあります。

そうすると、余計に体幹は抗重力方向に伸展しづらくなることがあります。

 

先行性随伴性姿勢調節(APA)(姿勢制御)が働かない

 

・柵や手すりなどをつよく握った姿勢

・細い台の上にのり、極めて不安定な状態で運動した場合

・身体は安定し過ぎていても(臥位姿勢など)、また不安定過ぎてもAPA’sの働きは減少したり、働きづらい

・末梢部からの感覚情報が乏しいとき

 

 

姿勢制御と半球間抑制の関係

片方の大脳が活性化すると、反対の大脳では、神経細胞の活動が抑制される現象が観察されます。 この現象は、「半球間抑制」と呼ばれます。

脳血管障害の関患者さんが片方の大脳に損傷を受けると、障害を受けていない脳への抑制がなくなってしまうので、左右間の活動にアンバランスが起き、非麻痺側の活動が優位になります。

APAsが効率的に働いていなかったりすると非麻痺側などの代償活動が強まり、それも半球間抑制により、麻痺側の活動をさらに制限してしまいます。

 

APA’sが働きづらい状態にあると、、、

代償運動などで半球間抑制によって麻痺側の感覚が抑制され、正確な体性感覚情報が入力されない事で、不正確な身体図式を構築し、適切な運動学習がなされない。

半球間抑制を考慮しながら治療をすすめた症例です

まとめ

姿勢制御に何か問題があり、普段の生活の中で、非麻痺側を過用し、代償活動が増えたりすると、正確に感覚情報が入力されづらくなります。

正確な体性感覚情報が入力されないと姿勢制御系の伝導路は働きづらくなり、固定的な要素が増えるので、相反神経支配によって実現する四肢の選択的な運動も阻害されます

それは麻痺側に限らず、非麻痺側にも影響がでます。

こういうところからも、いかに腹内側系の伝導路が重要なのかが分かると思います。

CVA患者を理解し治療するためにボバースの本もこちらの記事ですすめています

 

 



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