日本理学療法士協会の生涯学習システムが平成33年から新しい制度に変更になります。
それに伴い新設される登録理学療法士プログラムについて解説していきます。
生涯学習制度で新設される登録理学療法士とは
新しい生涯学習システムとして、新人教育プログラムが研修理学療法士プログラムとなり、認定理学療法士プログラムはそのまま、しして新しく新設されるものが「登録理学療法士プログラム」になります。
これは現行制度の新プロ修了と認定理学療法士の中間に位置するものであり、おそらく大半の理学療法士はこのポジションにいると思います。
「JPTA NEWS No.310」によると
特定の領域で高い専門的能力を備えたものに対する上位資格として「認定理学療法士」があるが、認定理学療法士までの水準にまでは達していないが、日進月歩する基本的理学療法の広い領域を実践できる人材(ジェネラリスト)として日々努力している会員を正当に協会が評価し学習を支援するために誕生したのが「登録理学療法士」であり、協会として社会に保障する認定資格制度とも言える。
「新プロは修了したからほかの勉強会はでないや」って人と「新プロ修了してまだまだ学び続けているけど、認定まではなかなか修了できないよ」って人をわけて、認定までは取ってないけど頑張っている理学療法士を評価しようと新設されたわけです。
そしてこの制度は、日本理学療法士協会の「技能取得者名簿登録制度」を策定して、登録理学療法士プログラム修了者を名簿に登録して、「わたしは登録理学療法士です」と名乗れるようにするものです。
登録理学療法士と名乗れるということがなにを意味するのか
日本理学療法士協会はこの新制度を開始し、「登録理学療法士という制度があります」と広報することで、病院や施設、事業所での人事、採用に影響を及ぼそうと考えています。
理学療法士が増えすぎている今現在ですが、「頑張っている理学療法士です」と示せる登録理学療法士という制度によって、質を担保しようとしているわけなのです。
また5年更新制になっており、いままで免許更新がない理学療法士でしたが、実質的に免許更新という意味を持つものにもなります。
"登録理学療法士の内容
研修理学療法士プログラムの具体的な内容としては以下のようになります。
登録理学療法士プログラムの特徴としては
- 69時間のカリキュラム
- 臨床経験6000時間以上
- 選択科目はなく、すべて必須研修
になります。
69時間のカリキュラムは、上記の表のとおりであり、それにプラスして研修理学療法士プログラム修了してから6000時間の臨床経験があることが条件になります。
6000時間というのは、
一日8時間勤務として年間に250日働いたとすると、年間に2000時間の臨床経験になるため、研修理学療法士プログラムを修了してから3年間臨床経験を積むということになります。
新生涯学習制度の記事はこちら
登録理学療法士をどう捉えるか
現行の生涯学習システムでは新人教育プログラムを修了すると一応は一人前?新人ではない?のような立ち位置になれたと思います。
しかし、この登録理学療法士プログラムが新設されたことで、どのラインで一人前なのかという基準のハードルがあがるように感じます。
現行の認定理学療法士プログラムは24時間の研修でしたが、登録理学療法士プログラムは69時間もの研修時間が必要になるので、現行制度から考えると、現行の認定理学療法士に匹敵するくらいのものになるのかとも思います。
しかし、現行の認定理学療法士は10症例の症例報告があり、登録理学療法士プログラムは症例検討会は必須でも症例報告は必須ではないように読み取れるので、やはり現行の認定PTの方が上でしょう。
ですが、やはり
「ふつうの理学療法士よりは頑張っている理学療法士」
とみなされるわけなので、真ん中より上のレベルにいる理学療法士と捉えられます。
"
登録理学療法士プログラムの疑問点
では、現行の認定理学療法士を取得しているPTは、平成33年の新制度に移行したときに、どのような扱いとなるのでしょうか。
いま持っている認定PTはそのまま継続ということなので、認定PTの更新となったときに、更新基準はかなり厳しいものになることが予想できるので、認定PTを更新できないとなると、
・登録理学療法士として扱われるのか、
・それとも登録PTの研修を1から受けることになるのか、
・登録PTの更新基準を満たせばOKとするのか、
ここらへんがどうなるのかが気になるところです。
まぁ自分は認定PTとってないですが((笑))
まとめ
以上、登録理学療法士プログラムのことを解説してきましたが、「頑張っている理学療法士」として扱われるようになるため、転職のさいにはやはり採用の決め手になると思います。
転職を考えているのなら修了しておいたほうがいいことは間違いないので、修了しておきたいと自分は考えます。
ですが、研修費や研修会場までの交通費なども考えて費用対効果を計算することも重要だとは思います。