理学療法士の方であれば大半の人は入会している日本理学療法士協会ですが、2017年10月に発行されたJPTA NEWSにて「生涯学習制度が変わります!」との記事で、制度変更についての内容とスケジュールが公開されました。
以前から変更されるという話は聞いていましたが、大幅に変わるなーという印象を受けましたので、何がいつどう変わるのかを解説していきたいと思います。
研修・登録・認定理学療法士プログラムのそれぞれの研修時間の大幅な増加
JPTA NEWSに図がのっていますが、それをみると研修時間が大幅に増加していることが一目でわかります。
いままで
- 新人教育プログラム13時間 + 認定理学療法士プログラム24時間 = 37時間
だったものが
- 認定理学療法士プログラム修了までに675時間
になるのです。
就業体系を週2休みで月に8日休みとして考えて年間に96日休みがあるとします(お盆やすみとかは抜きで)。
研修がおよそ6時間くらいあるとして、1日=6時間で考えます。
いままでの自分のペースで考えると研修にいくのは月に2日か1日といったところでしょうか。
仮に月に1日研修いくとすると、月に6時間の研修時間になり、年間では6時間×12ヶ月=72時間
年間に72時間の研修をうけれるとすると、9年半で認定理学療法士プログラムまで修了できる計算にはなります。
月に一回必ず単位をとれる研修があってそれに参加したらの話ですし、こんな単純計算ではよくわかりませんし、自分でもなんでこの計算をしたのかわからないですが。(笑)
これくらいの時間がかかりますよという感じです。
"
理学療法士協会の新しい生涯学習制度の改定の目的
今回、制度の大きな変更に踏み切ることになったわけですが、変更するためにはもちろん思惑や目的、今後の狙いがあるから変更をかけるわけです。
今回の改定の目的は
JAPT NEWS No.309から引用すると
今回の改定の目的を端的に表わせば、「理学療法士の臨床能力の底上げ」と「努力(研鑽)をした会員が正当に評価される」ということである。
そのためには、新人からの系統だった生涯学習プログラムの整備と社会からの評価が得られる制度設計が必要となり、大幅な学習時間増加が必然的に求められる。
とのことです。
新人教育プログラムは、研修理学療法士という名称に変更
新制度では、新人教育プログラムから研修理学療法士プログラムへと名称が変更されます。
名称が変わっただけではなく、大幅にその内容もかわります。
- 13時間⇒91.5時間
この91.5時間は座学43.5時間 + OJT(臨床研修)48時間
- 座学はすべての講義はe-learningで受講可能
- 現行の新プロでは1年で修了可能⇒最低でも2年間
- OJTは原則は自施設での研修となり、困難な場合は他の施設で研修する
大きな変更点はやはり修了するまでの時間が大幅に増加したことでしょうか。
また、OJTなる臨床研修が必要になるというところです。各施設の認定理学療法士が責任者となって研修を進めるのか、研修時に外部から人を呼ぶのか、また内容はどういったものなのか、そこら辺の全容はわからないです。
残業時間を増やすことはあまりよろしくないので、休日を使ってやるのか、けどその場合365日で働いている回復期リハビリの施設はどうするのか、まだまだ謎が多いですね。
研修理学療法士プログラムについての記事はこちら
"登録理学療法士の新設
新制度から登録理学療法士制度が新設されます。新プロを修了して認定理学療法士は持っていない中間のポジションになりますでしょうか。大半の理学療法士がこのポジションにいると思います。
内容としては
- 69時間のカリキュラム
- 臨床経験6000時間以上
- 登録理学療法士は5年毎の更新性
- 修了者はPT協会の技能取得者名簿に登録され登録理学療法士を名乗れるようになる
これまで理学療法士免許は運転免許とは違い、免許更新が必要ではありませんでした。この制度によって免許の更新になるわけではないですが、実質的には免許更新という効力を持ち、人事や採用に影響をあたえるようになります。
「ちゃんと学び続けて頑張っている理学療法士ですよ」というのを示せる制度といったところでしょう。
いままでの認定理学療法士プログラムを修了するよりも、研修時間が倍かかるので、新プロと認定PTの中間ともいいがたいような気もしますが。
登録理学療法士プログラムについての記事はこちら
認定理学療法士制度の変更
- 現行の認定PTは24時間のカリキュラム⇒514.5時間のカリキュラム
座学274.5時間 + OJT(臨床研修)240時間
- 修了試験を実施し、認定される
- 5年更新制
- 現在の認定理学療法士取得者は資格継続可能
この新制度での認定理学療法士プログラムは認定看護師を参考してつくられたようです。認定看護師は加算報酬があります。これを理学療法士の業界でもやろうというわけです。認定理学療法士がいる病院には診療報酬で加算がつくなどのようにです。そして520時間近くの研修カリキュラムは認定看護師の前例から600時間前後の研修時間が必要と推察されたためです。
それにしてもなかなかな時間ですね。
現行の認定理学療法士プログラムを修了するのにも2~3年くらいは要していたのに、その20倍の時間になるわけです。
現行の認定理学療法士プログラムを修了していれば、新制度になってからの更新までは認定理学療法士なわけですから、新制度が始まる前に取得しておくことがいいと言えるでしょう。
改定のポイント
1.研修理学療法士プログラム(現新人教育プログラム)および認定理学療法士プログラムの大幅な時間の増加
2.登録理学療法士制度の新設により実質的免許更新制度を目指す
3.外部評価が得られる水準に進化させ、認定理学療法士制度を医療広告ガイドラインにも合致するものに
4.OJT (On the Job Training) の導入
5.e-Learningの積極的活用
6.外部評価機構の構築
「JPTA NEWS No.309」から引用
新生涯学習制度の変更のスケジュール
『JPTA NEWS No.309』より引用
平成33年に新制度が開始となるようです。その際に新人教育プログラムが未修了の場合はそれまで取得した単位は無効になるとのことなので、いまのうちに新プロは修了しておいたほうがいいでしょう。
日本理学療法士協会は各士会に対して、会員が不利益を被らないように新プロの単位を取得できる講義を増やすように促しているそうですが、
ということは、現行の新プロを修了しておくことで、研修理学療法士プログラムは免除になるという解釈で良いのかなと思います。
なおさら今のうちに修了しておきたいものです。
まとめ
新制度は大幅に研修時間が増えるという形になりました。もちろん日々学び続ける必要のある理学療法士という仕事ですが、勉強会の団体も多数あり、理学療法士会が指定する研修以外にも有益な勉強会があることも確かです。プログラムを修了するために勉強するということにならないようには注意しないといけないですね。クライアントを治すために必要な知識と技術はなにかを考えて勉強を続けていきたいものです。