適切な歩行補助具の選択は使用者のQOLの向上につながる
歩行補助具の使用は歩行時の努力量の軽減と介助料の軽減につながり、効率性の良さと安全性を与えてくれます。
楽に歩ければ疲れも少なくなり外出機会が増えたり、それによって他者との交流機会が増えたりなども期待できます。外出しなくても、人の生活は家の中でも少しの距離は必ず移動しないとなにもできません。
・テレビのリモコンをとりにいく
・トイレにいく
・顔を洗いに行く
・飲み物を取りに行く
・寝に行く
など
この移動ができるだけで人間の生活の自由度は大きく変わります。
下肢の障害があったり、筋力が低下してバランスが悪い人にとっては歩行補助具を使用することでQOLの向上につながるのです。
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歩行補助具を使用する目的
➀転倒予防
➁疼痛軽減
➂荷重量の免荷
➃歩行速度の制御
➄心理的安心感
➅支持基底面の拡大
➆歩行耐久性の向上
➇体幹や下肢の筋力の補助
➈他者への障害のアピール
歩行補助具の種類
歩行補助具は介護保険サービスでのレンタルの対象になるものもあります。
介護保険での福祉用具のレンタルと販売に関してはこちらの記事を参考にしてください👇
1.杖
ケイン
- 単脚杖(T字杖)
- 多脚杖(四点杖など)
クラッチ
- ロフストランドクラッチ
- 松葉杖
- プラットホーム型クラッチ
2.歩行器
キャスター型歩行器(歩行車)
- 四輪型歩行器
- 三輪型歩行器
四脚型歩行器
●前輪型歩行器
●交互型歩行器
●固定型歩行器
●ステアウォーカー
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疾患を考慮した歩行補助具の選択
歩行補助具の選択は上下肢の支持機能バランス能力に応じて選択していきます。
また疾患の特性も選択する際に考慮すべき点になります。
脳卒中片麻痺の場合
一側の上下肢の運動機能は低下しているため、
両上肢で支持する歩行器は適応とはなりません。
片手で使用可能なケインが適応となります。
安全性が低ければ多脚杖、比較的安定していれば単脚杖を選択します。
パーキンソン病の場合
すくみ足になることを考慮します。
歩行器のなかでも、キャスター型は歩行器だけが先に走ってしまい、すくみ足で脚が前に進まないといったことになる可能性があります。そのためキャスター型が望ましくありません。
バランス能力によって選択し、ケインまたは、四脚型歩行器が適応となります。
運動機能は高いも高次脳機能障害がある場合
杖の使い方がわからなかったり、まわりに注意をむけられないといった場合には、安全性を優先させて考えます。
歩行補助具を選択するための簡単な評価
歩行補助具を選択する際に簡単に下肢や上肢の支持力を評価します。
- 下肢はどの程度体重を支持できるのか
- 歩行時にどの程度上肢の支持が必要か
- それらの安定性はどうなのか
これらを調べてから選択していきます。
実際の評価
1.平行棒を把持させて片脚立ち
この時に膝を軽く屈伸させて膝折れがないかを確認と、膝をロッキングで固定していないかも確認する
2.平行棒内で歩行
- 上肢の支えは両上肢or一側??
- 一生懸命握っている??
- 手掌だけor手指だけの支えでできる??
- 体幹は左右に揺れている??
どれを選択するか
- 平行棒を両手で握らなければいけない場合は歩行器歩行
またそれにプラスして体幹部の動揺があれば歩行器のコントロールに介助を要す
- 一側上肢で握って歩ければ杖
手掌程度の支えであれば見守り
手指程度の支えで歩けるのであれば自立
といったところでしょうか
おわりに
歩行補助具を選択する際には説明した身体機能の評価だけではなく、どこでどのような環境で歩行するのかや本人の嗜好なども考慮して相談しながら決めていけるといいですね。