アンダーソン・土肥の基準と運動療法でのリスク管理




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アンダーソン・土肥の基準とは

この基準はリハビリを行う際に、訓練を行わず中止にするか、訓練中であれば中止にするか休憩して回復を待つかをバイタルサインを指標にして判断するときの基準となるものです。

アンダーソンが提案したものを臨床において使用しやすくするため土肥が改変したものが現在の臨床の場では多く使用され、多くの病院や施設でこの基準に則って実施基準を設けていると思います。

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アンダーソン・土肥の基準の目的・意義

私たちはリハビリの開始前に血圧や脈拍を測定、表情や体調などを確認し、リハビリ中も適宜測定してリハビリをしていきます。

もちろん患者さんのリスク管理のためであり、安全に運動を行える心身状態か、負荷量は大きすぎないかなどの参考にもなります。

 

そのほかにも患者さんのリスク管理だけではなく、実はセラピストのリスク管理にもつながっています。

もし仮に、患者さんが急変した場合に、バイタル測定をして記録もとっておけば、リハビリ時には問題なかったこと、基準の範囲内で行っていたことを証明することができ、訴訟などに発展したときにリハビリはリスク管理がなされたなかで行われていたことを証明できるかもしれません。

そういった意味も含めセラピストのリスク管理としても役に立つと思います。

 

アンダーソン改定基準 (土肥による)
Ⅰ.運動を行わないほうがよい場合
 1)安静時脈拍数120/分以上
 2)拡張期血圧120以上
 3)収縮期血圧200以上
 4)労作性狭心症を現在有するもの
 5)新鮮心筋梗塞1ヶ月以内のもの
 6)うっ血性心不全の所見の明らかなもの
 7)心房細動以外の著しい不整脈
 8)運動前すでに動悸、息切れのあるもの

 

Ⅱ.途中で運動を中止する場合
 1)運動中、中等度の呼吸困難、めまい、嘔気、狭心痛などが出現した場合
 2)運動中、脈拍が140/分を越えた場合
 3)運動中、1分間10個以上の期外収縮が出現するか、または頻脈性不整脈(心房細動、上室性または心室性頻脈など)あるいは徐脈が出現した場合
 4)運動中、収縮期血圧40mmHg以上または拡張期血圧20mmHg以上上昇した場合

 

Ⅲ.次の場合は運動を一時中止し、回復を待って再開する
 1)脈拍数が運動時の30%を超えた場合、ただし、2分間の安静で10%以下にもどらぬ場合は、以後の運動は中止するかまたは極めて軽労作のものにきりかえる
 2)脈拍数が120/分を越えた場合
 3)1分間に10回以下の期外収縮が出現した場合
 4)軽い動悸、息切れを訴えた場合

 

アンダーソン・土肥の基準で注意すること

多くの病院・施設でリハビリの基準として順守しながら業務を行っていきますが、高齢者ではこの基準に引っ掛かってしまうことがしばしば見受けられます。

引っ掛かる項目も血圧であることがほとんどで、めまいとか吐き気とか動悸とかの症状はないケースです。

血圧は様々要因で簡単に高くなります。

 

・ストレス

・場所

・気分

・気温や気圧

・測定時に腕に力が入っていたり興奮して話していたり

 

などなど

 

病院という空間にいるだけでも集団生活であり生活が制限されストレスを感じたり、なにかと緊張が抜けないと思います。30くらい平気で収縮期血圧は高くなったりすることはザラであります。

そのため、

「血圧の値が基準を超えたからリハビリは行わない」

となるとリハビリが進まないため

なんで高くなってしまっているのかを考え、

 

・かるくマッサージしたり話しながら緊張を和らげて上げたり

・それ以外の胸部症状やめまい、吐き気などの自覚症状、体調はどうか確認したり

・あとドクターに確認するのも忘れずに

など血圧だけで判断せずにこの基準を盲信せず参考にしながら、総合的にリスク管理をしてリハビリを行っていきましょう。

 

また

アンダーソン・土肥の基準は血圧と脈拍だけではなく

「呼吸困難、めまい、嘔気、狭心痛などが出現した場合」

とか

「労作性狭心症を現在有するもの、新鮮心筋梗塞1ヶ月以内のもの」

とかの数値以外の項目もあることは忘れがちになるので気をつけましょう。