筋の収縮様式の分類『等尺・等張・求心・遠心・等速性収縮』



筋力トレーニングを考える上で重要になってくるが「筋の収縮様式」になります。

筋収縮には収縮のされ方、関節運動の起こり方?によって分類されています。

特異性の原則」という言葉は聞いたことがあるでしょうか。

特定の収縮様式で行った筋力トレーニングはその収縮様式の筋力がつくといったものです。

自分が改善したいと思っている動作で鍛えたい筋肉がどういった収縮様式なのかを考えておこなうと効率良く使える筋力をつけることができます。

そのため、筋の収縮様式の種類や特徴を理解しておくと、クライアントに必要なエクササイズ方法を立案することができます。

 

収縮様式の分類:関節運動がおきるかor起きないかによる分類

●動的収縮

筋の長さが変化する場合の筋の収縮様式になります。

関節運動が伴う収縮様式であるため、等張性収縮がこれにあたります。

●静的収縮

筋の長さが変化しない場合の筋の収縮様式になります。

関節の動きを伴わない収縮様式であり、等尺性収縮がこれにあたります。

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筋の長さ変化による収縮様式の分類


等張性収縮(アイソトニック・コントラクション)

筋の収縮によって、筋の長さが変化する収縮様式です。

“等張”といっているので、筋が一定の張力を発揮しながら短くなったり、長くなったりします。

簡単に説明すると、立ち止まっている静的立位であれば、等尺性収縮で、歩行であれば腕を振ったり、

足を振り出したりしているので等張性収縮といえるでしょう。

日常生活は動いているので、この等張性収縮の連続とも表現していいのではないでしょうか。

この等張性収縮はさらに2種類に分類できます。

求心性収縮(短縮性収縮)

コンセントリック・コントラクション(Concentric contraction)とも表記します。

筋の起始と停止が近づきながら収縮します。
例えば、

・ダンベルを持ち上げる際の上腕二頭筋

・立ち上がり時の大腿四頭筋など

●遠心性収縮(伸張性収縮)

エキセントリック・コントラクション(Eccentric contraction)とも表記します。

筋の起始と停止が遠ざかりながら収縮します。

「筋が伸びながら収縮するってどういうこと?」って思うかもしれませんが普段の日常生活でも多くこの遠心性収縮を使っています。

 

例えば、歩行時のIC~LRでの膝の屈曲は衝撃を緩衝していますが、これは大腿四頭筋の遠心性収縮になります。

あとはジャンプして着地したときに「膝折れ」しないように膝は曲がりながらもブレーキがかかっていますよね?それもそうです。

 

等尺性収縮(持続性収縮)

アイソメトリック・コントラクション(isometric contraction)とも表記します。

筋の長さを変化させないで収縮します。

等尺性収縮の例としては、動かない壁を押したり、握力計を握る、ダンベルを一定の位置に保持するなどがあげられます。

そのため、骨折や靭帯断裂などで関節運動を起こせない時期の筋力トレーニングとして有用です。

その他の収縮様式

等速性収縮

筋の収縮速度が一定となるような関節運動時の筋収縮になります。

筋肉が一定の速度で筋収縮が行われる状態で、自然に起こらないために、特殊な機器を用いて行います。

アスリートであれば、特定の関節角度での筋力が必要になる場合がありますが、

その際にどの関節角度での筋力がどうなのかを評価できるので有用な評価でしょう。

●相同性収縮

急激な動きを伴う収縮になります。等張性収縮と同じ意味に用いることもある。

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収縮様式のその他のポイント、特徴

●張力の強さは遠心性>等尺性>求心性の順となり、遠心性収縮が最も張力が強いです。

●遠心性収縮は神経筋疾患の筋ジストロフィーやALS、多発性筋炎の患者様には、オーバーユースになるので適していません。

●低負荷での遠心性収縮は日常生活でも頻繁に使われています。

●静的収縮は運動時痛のある患者様には有効ですが、血圧上昇を招くので高血圧・心臓病の患者様には適していません。

参考図書・教科書