ディープフロントアームラインの概要とリハビリ応用/アナトミートレイン【筋膜】



ディープフロントアームラインとは

引用:ムービングボディ―動きとつながりの解剖学 クリス・ジャーメイ著

ディープフロントアームライン(DFAL)はアナトミートレインの筋膜ラインの一つです。

deep front arm lineと英語では表記します。

体幹から上肢まで連結するラインは4つあり、そのなかの前面・深層に走るラインになります。

胸部前面から始まり、母指球まで腕の深層を走行しています。

 

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ディープフロントアームラインの走行

筋のつながり

小胸筋、鎖骨胸筋筋膜

上腕二頭筋

橈骨骨膜、前縁

外側側副靭帯、母指球筋

引用:アナトミー・トレイン [Web動画付] 第3版: 徒手運動療法のための筋筋膜経線

骨のつながり

 第三〜五肋骨

烏口突起

橈骨粗面

橈骨形状突起

舟状骨、大菱形骨

母指外側

 

DFALは、小胸筋から母指球筋まで連結しており、母指から胸部前面までを安定させています。

DFALの機能と特徴

  1. 胸部前面~母指までを安定化させる
  2. 母指球に付着している
  3. 小胸筋に付着

胸部〜母指までの安定化

DFALは小胸筋から上腕二頭筋、橈骨、母指球筋までの連結であり、上肢の深層を走行しています。

深層にあるため、そのラインの安定化に寄与しSFAL(スーパーフィシャルフロントアームライン)が安定した状態でしようすることができます。

SFALは表層の大胸筋、広背筋、手関節屈筋のラインのため、上肢の力強い運動を行いますが、

DFALが機能不全になると、上肢の前面の安定と運動の両方を担うことになり過負荷になります。

母指球へ付着している

母指球に付着しているため、物を握るときの母指や握力のコントロールを担っています。

先ほども説明したように現代人はスマホやパソコンを多用するため母指を使用する頻度がとても多いでしょう。

母指の多用によるDFALの過負荷から機能不全や滑走不全などが考えられます。

 小胸筋に付着

小胸筋は大胸筋の深層に位置し、第3~5肋骨の前面から烏口突起まで走行しています。

小胸筋は肩甲骨の安定化に寄与しますが、スマホやパソコン多用する生活で前かがみで多くの時間を過ごす現代では小胸筋が短縮しやすくなります。

小胸筋が短縮すると肩甲骨が前傾位のアライメントなり、吸気時の上部肋骨の動きの制限や肩関節の屈曲制限につながります

またこのアライメントではDBAL(ディープバックアームライン)での肩甲骨の安定も阻害されてSFALの過活動につながります。

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簡単にできる小胸筋のストレッチ

小胸筋は肩甲骨を前傾させる作用があるので、肩甲骨を下制させて伸張させます。

  1. 立位で両手を腰にまわして手を組みます。
  2. 組んだ手を腰から遠ざけながら肩甲骨を内転・下制させて胸郭を開きます。
  3. 組んだ手を地面に向かって引き下げるようにしてさらに肩甲骨の下制を促します。
小胸筋 ストレッチ

※注意点

腰椎の過伸展で代償しないようにします。

DFALを考慮してリハビリに応用する

腱板損傷や麻痺の人で上肢挙上時の重たさや痛みを訴えるケースにおいて以前、このラインを治療することで改善した症例がいました。

DFALは上腕二頭筋と小胸筋が含まれています。

小胸筋が短縮すると肩甲骨は前傾し、上肢挙上を制限してしまいます。

しかし、小胸筋を単独でストレッチしたりリリースする(自分が下手なのもあります)ことででは改善はできません。

なぜ小胸筋が緩みにくいのか

上腕二頭筋の短縮・使いすぎが挙げられます。

肩が痛いと上肢を内転・屈曲で動かないように固定することが多いですし、

麻痺の人では連合反応であったり、起居動作で柵につかまり引き寄せたりして上腕二頭筋を使う場面が多くあります。

 

治療としては

上腕二頭筋と上腕三頭筋の境目に指を沈めていき、肘の屈伸を大きくゆっくり行ってもらいます。

これを上腕の中間から肘まで行います。

 

治療をしても上腕二頭筋を多用する動作方法ではまた同じことの繰り返しになるので、姿勢やポジショニング、動作指導もあわせて行いたいです。