「ヨガとピラティスって似てるけどなにが違うの?」と疑問に思っている人は多いと思います。
同じようなウェアで似たようなポーズをとって、ヨガマットの上で運動して、と似ている要素は確かにあります。
しかし似ているようで、起源や目的、効果はまったく違うものなのです。
歴史をはじめ、目的・効果、呼吸法やその他の違いまで、ヨガとピラティスの違いを解説していきます。
ヨガとピラティスは成り立ちが異なります
ヨガの成り立ち・歴史
ヨガの起源はインダス文明の時代にまで遡ります。誕生は今から約4500年前とされます。
現代のようなエクササイズという側面よりも、思想に基づいた修行方法として用いられていたことがヨガの始まりだとされています。
当時の仏教は「悟りを開く」ことが重要であり、それを達成するための精神統一手段として「瞑想」が生まれ、瞑想に効果的としてヨガのポーズ「アーサナ」がルーツになったのです。
ヨガは身体の健康法としてではなく、精神の安定も重視しています。そのため、心の病のケアにも効果的だと考えられているのです。
呼吸に意識を集中させることで、精神の平穏、心のリラクゼーションを図る効果が期待されています。
その後、ヨガはアメリカを訪れたアメリカ人のヒッピーによって本国に伝えられて、
そこからブームが起こり、現代のような形に発展していきましたが、根本となっているのは、あくまでも精神的な充実を目指すという点。
ピラティスの成り立ちと歴史
ヨガの延長にあるだろうと思われることも多いピラティスではありますけれど、
ピラティスメソッドというのはピラティスさんが病弱な体を強くするためにボクシング・体操などを取り入れることで、
身体を怪我している場合でもベッド上で実践する事ができるように開発されたエクササイズです。
ピラティスさんは元々ボクシングと体操を選手としてやっていたそうです。
かつては、戦争で怪我した兵士のリハビリのために考え出されました。
その時は、ピラティスをコントロロジーと呼んでいました。
負傷者のリハビリであったため、ベッド上で寝ながら行うということが重要になりました。
これはベッド上で寝たまま関節や筋肉が硬くならないように 上下肢や脊柱のストレッチや運動、インナーマッスルの賦活を図り運動不足を解消するといった内容でした。
また、このベッドに工夫を凝らしたことがのちの”キャデラック”という器具に発展したのです。
その後、ピラティスさんは、1926年にニューヨークに渡り、エクササイズスタジオを立ち上げます。
そこでダンサーや役者の間にコントロロジーの評判が広まりは
呼吸法や姿勢改善ができること、筋力強化ができることなどから
いまではアスリートやセレブなどもピラティスを行うようになり、人気を確立させました。
ピラティスメソッドはアメリカではクリニックや病院でリハビリとして用いられ
日本でもフィットネススタジオが増えてきたため、障害のある方から健康な方まで多くの人が楽しめるエクササイズへと発展しています。
"ヨガとピラティスはその目的と効果も違う
ヨガの目的と効果
歴史でも触れましたが、ヨガはもともと瞑想がルーツとなっています。
そのため目的は精神的な充実です。深い呼吸に意識を集中させ、全身を動かすポーズをとることでメンタルが落ち着いてきます。
もちろんヨガのポーズの中にはストレッチ効果があるものも、筋力を必要とする動きも多く
結果として柔軟性がアップしたり、筋力が付いたり、代謝がアップすることにつながります
ピラティスの目的と効果
ピラティスではエクササイズを通して、呼吸と動きによりインナーマッスルを強化して全身の筋肉のバランスを整えます。
姿勢に重きを置いているため、背骨や骨盤のゆがみを矯正し筋力強化と姿勢改善に効果的です。
専用のマシンを使用することで効果的なエクササイズをすることも特徴です。
精神面には重きは置いていませんが、集中力も必要な為、集中力アップや体を動かすことでの気持ちのリフレッシュにもつながります。
簡単にまとめると、ヨガでは精神安定、メンタルケアを目的とし
それに対してピラティスはインナーマッスルを鍛えて姿勢改善を目的としているエクササイズといえるでしょう。
ヨガとピラティスの呼吸法の違い
ヨガもピラティスも呼吸を重要視しているのですが、呼吸法もまた異なります。
ヨガの呼吸法
ヨガは腹式呼吸をしながらエクササイズをします。
腹式呼吸は、吸気で息を吸った時にお腹が膨らむように空気を吸う呼吸法になります。
呼気ではお腹の空気を全部だしきるようにお腹の力を使って吐き出します。
意識して深くゆっくりと行う腹式呼吸を行うと、副交感神経が優位になりリラックスすることができます。
ピラティスの呼吸法
ピラティスは胸式呼吸をしながらエクササイズをします。
胸式呼吸は、吸気の際にお腹でなくて胸が膨らむように肋骨が大きく横や上下・前後に開くように空気を吸う呼吸法になります。
呼気では胸の肋骨をしぼめるように息を吐いていきます。
この胸式呼吸では、お腹に空気が入らないようにお腹は薄くしたまま呼吸を行いますが
このお腹を薄く保つのにインナーマッスルである腹横筋を使用するため、これだけでもエクササイズになります。
胸式呼吸は交感神経を優位にする働きがあるため、筋肉が活動的な状態になり筋トレの効果が出やすいという特徴があります。
"マットの厚みにも違いがある
ヨガもピラティスもマットの上でエクササイズをするのですが、実はそのマットはヨガとピラティスで厚みが違うのです。
ピラティスの場合は、マットで仰向けで動作をしたり、横向きで行ったりと、床に寝そべりながらエクササイズすることが多いです。
そのため、骨がゴリゴリ床にあたって痛くならないように、厚めのマットが適しています。
ヨガの場合は、体を動かしてポーズをとり、そのままバランスをとって静止する事が多いです。
また立ったままバランスをとるポーズもあるため、薄めのマットが適しています。
あくまで、適しているであって、そうしないといけないわけではありません。
ピラティスをやっている人の中ではヨガも習っている人も多くいて、同じマットを使っている人がほとんどです。
おわりに
いかがだったでしょうか。
ヨガとピラティスは目的も効果も違うといっても、どちらも心身の健康という点に関しては同じです。
興味があればぜひどちらも体験をしてみて、自分に合った方を取り組んでみるといいと思います。