大腿骨転子部骨折の原因、頚部骨折との違い、手術、リハビリをまとめました

大腿骨転子部骨折


大腿骨転子部骨折のリハビリのために病態を知ろう

大腿骨転子部骨折は高齢者に頻発する骨折で、その名の通り大腿骨の転子部の骨折です。

発生率は大腿骨頚部骨折の2倍とされています。

 

転倒して股関節(転子部)を強く打ったことが原因で受傷することが多いです。

頚部骨折と比べると、関節包外の骨折であり骨膜からの血流が保たれるためCHSやGamma Nailなどによる骨接合術が行われることが一般的でしょう。

 

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大腿骨転子部骨折と大腿骨頸部骨折の違いは?

 

大腿骨転子部骨折は「関節包外骨折」で、大腿骨頚部骨折は「関節包内骨折」です。

 

関節包外骨折では、骨表面が骨膜に覆われているため、血流が豊富であり骨癒合はされやすいです。

 

しかし、骨膜には神経も豊富に存在しているため、疼痛が強いという特徴があります。

 

関節包内骨折では、骨膜に覆われていないため痛みは少ないですが、栄養血管が乏しく骨癒合の遅延や骨頭の壊死をきたしやすくなります。

 

そのため、大腿骨転子部骨折では骨接合術が、大腿骨頚部骨折では人工骨頭置換術が選択されます。

 

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大腿骨転子部骨折の手術

大腿骨転子部骨折に対して行われる手術療法は、骨接合術が一般的です。

 

骨接合術の種類として

CHSCompression Hip Screw

Gamma Nail

PHNProximal Hip Screw

・エンダー釘

などがありますが、CHSとGamma Nailが用いられることが多いでしょう。 

 

CHSCompression Hip Screw

大腿骨転子部骨折 CHS

引用元: 医療法人賀新会http://newelder.jp

【メリット】

・手術侵襲が少ない

・安定型に対し適応が良い ・lag screwのtelescopingにより骨折部の圧迫が期待できる

※テレスコーピング・・・荷重によりlag screwがスライディングし、骨折間に圧迫が加わること

【デメリット】

・lag screwの刺入位置の不良、深入程度により骨頭の内反変形やカットアウトを生じる

・骨粗鬆症が著しい場合はプレートの脱転、ブレート端の骨折が起こりうる

 

Gamma Nail

 

大腿骨転子部骨折 ガンマネイル

引用元:福岡整形外科病院 http://www.fukuokaseikei.com

【メリット】

・安定型、不安定型に対し適応が良い

・lag screwのtelescopingにより骨折部の圧迫が期待できる

・髄内に荷重軸があり強固な固定力が得られる

・閉鎖的手技により骨癒合や感染の防止に有利

【デメリット】

・lag screwの刺入位置の不良、深入程度により骨頭の内反変形やカットアウトを生じる

・遠位横止めスクリューによる大腿骨骨幹部骨折のリスクがある

 

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大腿骨転子部骨折の骨接合術による切開、侵襲

 

1.大転子の中央付近より大腿骨に沿うように遠位方向へ皮膚切開を行います。

2.大腿筋膜・腸脛靭帯を切開して、大腿筋膜張筋や腸脛靭帯を切開します。               

3.外側広筋の筋膜を切開し、外側広筋と中間広筋を鈍的に分けて大腿骨に達っします。 このような順番で切開していき手術を行います。

 

外側広筋とTFLの滑走が膝のスムーズな動きに必要です。

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大腿骨転子部骨折術後のリハビリ

切開される各組織は結合組織で連結していますが、組織間での滑走性が重要です。

 

例えば、股関節の内外転では大腿筋膜張筋が伸張・弛緩されますが、

大腿筋膜張筋と隣り合っている外側広筋は単関節筋であり、股関節の運動には関与しないと思います。

そのため大腿筋膜張筋と外側広筋の間での滑走が重要ということです。

 

具体的には、大腿四頭筋を片手で把持して固定します。

もう片方の手で大腿筋膜張筋を把持して隣合っている外側広筋の上を大腿筋膜張筋が前方・後方に滑らすようにリリースをかけます。

 

 大腿外側の筋が治療のターゲットになるということはアナトミートレインでいうラテラルラインの筋膜のつながりをみる必要があるかもしれません。

ラテラルラインの記事はこちら

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まとめ

今回は、大腿骨転子部骨折の概要、手術の種類や侵襲、リハビリについて解説しました。

 

大腿骨転子部骨折は高齢化からこれからもっと増えていくことが予想されます。

 

多くの術後の方は腸脛靭帯や大腿筋膜張筋の過緊張、疼痛を訴えます。

 

もちろん大腿外側を切開しているわけなのですが、切開で何を切っているのか知らなければ、

なんとなくのアプローチになってしまいます。

どこを切って、どの筋膜、筋、皮膚、筋膜のつながり等々を考えて評価・治療を行っていきたいものです。