【変形性膝関節症】3つの疼痛部位を押さえておこう!部位別リハビリ戦略



 

変形性膝関節症の疼痛は、膝蓋下脂肪体・半膜様筋・内側側副靱帯に由来することが多いと報告されています。

今回はこれら3つの疼痛部位の評価や治療法について解説します。

 

 ① 膝蓋下脂肪体について

膝蓋下脂肪体由来の疼痛は、椅子から立ち上がる時や階段を下りる際に膝前面に鋭い痛みを感じることが多いです。

身体所見には、膝関節の完全伸展ができないことや、膝伸展位で膝蓋腱の内側または外側を圧迫することで痛みが誘発されることが含まれます。

疼痛を和らげるためには局所注射が有用ですが、機能回復にはリハビリテーションが欠かせません。

具体的には、膝蓋下脂肪体の柔軟性と移動距離の改善、殿部離床時の大腿四頭筋の張力低減を図るために、非荷重下での膝関節屈伸や股関節軸を使用したスクワットを行います。

 

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② 半膜様筋について

半膜様筋由来の疼痛は、歩行や階段昇降時に膝後内側部に痛みが生じます。

身体所見には、半膜様筋の停止部(anterior arm)の圧痛や、歩行時に踵接地が見られず足底接地であることが挙げられます。

疼痛緩和には注射が効果的で、その後リハビリテーションで機能改善を図ります。

リハビリテーションでは、膝関節屈曲位で半膜様筋腱の内側への移動を抑制しつつ、ストレッチや等尺性収縮エクササイズを中心に行います。

 

③ 内側側副靱帯について

内側側副靱帯由来の疼痛は、歩行時に膝内側部に感じる痛みです。

身体所見には、内側側副靱帯の圧痛、歩行速度の低下、立脚期に体幹を立脚側に傾けるtoe-out歩行が見られます。

内側側副靱帯は深層で内側半月板に付着しており、内側半月板の加齢変化によって水平断裂を起こし、内側に逸脱することがあります。

この結果、膝の屈伸により内側側副靱帯浅層に摩擦ストレスが増し、滑液包が腫脹して疼痛が生じることが知られています。

治療では、注射による疼痛緩和の後に、内側側副靱帯浅層・深層の滑走不足を改善するために滑走をアシストしつつ屈伸動作を行います。

また、杖を使用することで膝内側部へのストレスが10.1%低減することが報告されており、杖歩行も有用です。

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おわりに

このように、変形性膝関節症の疼痛部位に応じた評価と治療法を適用することで、効果的な疼痛管理と機能回復が可能となります。