バランスとは?リハビリでの捉え方と評価と治療のための基礎知識【理学療法評価】



「バランスが悪いから転倒の危険があります」「バランス能力が低下しています」などなどこんな言葉は多く使っていると思います。

聞きなれた言葉なので看護師さんや他の職種や家族に説明する際には使いやすい言葉です。

しかし、私たちセラピストはなんの要因で「バランス」が悪くなっているのかを知っておかなければ、治療ができません。

バランスとはなんなのかまずはそこからおさえていきましょう。

バランスとは??

支持基底面内に重心線を収めるために、運動や感覚、神経機能、認知機能、呼吸循環機能、筋骨格系の協調的な働きによって、結果として観察されるものになります。

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セラピストが捉えるバランスの3つの分類

●外乱に対する立ち直り反応や、姿勢の変化などの内乱に対する立ち直り、平衡反応のような姿勢反応としてのバランス

●身体重心の高さ、支持基底面の広さ、重心線と基底面の位置関係などの生体力学的分析に基づいたバランス

●Functional ReachテストやTUGなどのバランス検査での結果としてのバランス

バランスが良いとは??

バランスが良いとはどのような状態のことを指すのでしょうか。

  • 支持基底面が広くて、重心が低く
  • 重心線が支持基底面の中心にある
  • 安定性限界が大きい
  • 重心動揺が小さい
  • 重心線が安定性限界の中心にある

 

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物体の安定に関わる3つの因子

➀支持基底面の広さ

➁重心位置の高さ

➂支持基底面への重心位置の投射

 

バランスに関わる用語

定位:ある環境下で要求された課題を遂行するために、目的に沿って身体の方向や身体各分節の位置関係を調節働き。

安定性:ある環境下で要求された課題を遂行するにあたり、姿勢を崩したり、転倒しないように身体各分節の位置関係を調節する働き。。

安定性限界:支持基底面は、身体が支持される面と身体が接触する部分の外周を指し、定まった姿勢の中で重心線を動かせる物理的限界のこと。しかし実際は姿勢を崩さずに支持基底面全体にわたり重心線を動かすことはできないため、重心線を機能的に動かせる領域のことを安定性限界という。。

平衡機能:種々の運動や行動に伴う姿勢を維持・調節するために必要な神経系の機構のこと。

バランス検査の2つの分類

方法ではなく分類としました。方法はその分類の中に細かく評価するためにあります。

姿勢・動作観察、触診によるバランスの検査

動作を行っているときのアライメントの変化や支持基底面内に重心線がおさまっているかどうか、またステッピングがでるか、それが早いのか遅いのかなど。また、四肢が固定的になっているのか、フリーに動かせるかなども評価する

課題遂行能力の計測によるバランスの検査

Functional ReachやTUGなどの検査方法で時間的や長さなどの客観的指標を用いて評価する