高齢者、はたまた若い男の人にも多い姿勢の一つである骨盤後傾位。
姿勢や動作分析で問題点の一つとなります。
評価と骨盤後傾による影響などを一緒に考えてみましょう。
骨盤後傾とは?
教科書上では骨盤を矢状面でみて、ASISがPSISよりも二横指程度低いのが、骨盤の中間位としています。
そのため
骨盤前傾位:ASISがPSISより二横指よりもさらに低い(尾側方向に)
骨盤後傾位:ASISがPSISより二横指よりも高い(頭部方向に)
ということになります。
"骨盤が後傾する事による影響、運動連鎖
- O脚
- 脊柱の屈曲姿勢、円背
- 膝痛
- 腰痛
- フォワードヘッド姿勢を呈しやすく肩こりの原因
- 胸郭が圧迫されることで換気しづらくなる
関連記事はこちら👇骨盤前傾位は梨状筋に影響を?
骨盤後傾位になる理由はハムストリング?
骨盤後傾の原因の代表格はハムストリングだと思います。
ハムストリングスのストレッチに効果抜群!!👇
坐骨から起始しているハムストリングは短縮することで坐骨を尾側方向に引っ張り骨盤後傾になります。
じゃーハムストリングスの柔軟性をだせば骨盤後傾位は改善される?
いやいやそう簡単にいかないです。
SLRテストに関しての記事はこちら👇
"骨盤後傾のもう一個の代表格である腸腰筋の機能不全
ハムストリングスの短縮と同じくらい骨盤後傾位で代表的な原因は腸腰筋の機能不全になります。
腸腰筋は腸骨筋と大腰筋にわかれており、
大腰筋:胸椎12番と腰椎1~5の横突起から起始し、大腿骨小転子に付着
腸骨筋:腸骨窩から起始し、小転子に付着
股関節の前方を通過することがわかります。
そのため、収縮すると仮に大腿骨をとめていると仮定すると、骨盤を前傾させる運動がおこります。
なぜ腸腰筋は機能不全に陥るのか?
みなさん楽にリラックスして座っているときって骨盤や背中はどういうアライメントをとっていますか??
骨盤を前傾させてシャキッと座っている人はまぁーいないのではないでしょうか。
おそらくみなさん骨盤後傾して背中が丸くなって座っていると思います。
短時間であれば別にいいのですが、長い時間その姿勢を続けていると、腸腰筋は長く伸張されすぎてしまい、ダルダルになります。
輪ゴムをずっと引っ張って伸ばしていたら、もとに戻る弾性が弱くなりますよね。
それと一緒で腸腰筋も筋発揮されづらくなります。
また、骨盤後傾でハムストリングは短いまんまだとハムストリングスは短縮したまま硬くなります。
簡単にハムストリングスの短縮を評価する
もっとも簡単にハムストリングスの短縮の評価の方法はSLRテストではないでしょうか。
SLRテストは、患者さんに仰臥位になってもらい、検者が患者の検査側下肢を持って膝関節伸展位を保ったまま徐々に下肢を挙上していく検査方法です。
反対の股関節が屈曲してこずに、また検査側下肢の膝が曲がってこないで股関節が屈曲できるかで判断します。
簡単な腸腰筋の機能の評価方法
腸腰筋の検査としてMMTの教科書にのっている座位にて股関節を屈曲させてうえから抵抗をかけてどのくらい筋力があるかをみる検査が有名だと思います。
このMMTの方法で一つ注意したい点があります。
それはしっかり股関節が90以上屈曲している状態で検査をしているかどうかです。
なぜというと、股関節屈曲は大腿直筋も腸腰筋と一緒に作用します。
股関節の屈曲が浅いと大腿直筋の仕事量が多く、屈曲角度が増すにつれて大腿直筋の仕事量は少なくなっていきます。
しかし、腸腰筋は股関節屈曲90°を超えても屈曲トルクを発揮することができるのです。
そのため、股関節はしっかり90°以上は屈曲させた状態で検査しましょう。